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親戚にも評判だった自慢の一人娘
地方都市で一人暮らしをするミチコさん(75歳・仮名)には、45歳になる一人娘のナオさん(仮名)がいます。
ナオさんは地元では有名な中高一貫校を卒業後、自ら志望した国立大学へ進学。そのまま東京で就職し、現在は年収800万円ほどの会社員として忙しく働いています。結婚歴はなく、子どももいません。
ミチコさんは夫に先立たれ、現在は年金月約14万円、貯蓄1,500万円ほどで暮らしています。
離れて暮らしていても、ナオさんは母親をよく気にかけていました。
飼い猫のフードが切れそうだと聞けばネット通販で送る。帰省すれば重いものの買い出しを手伝う。スマートフォンの使い方がわからないと相談されれば、電話で教える。
「娘には本当によくしてもらっています」
ミチコさんも、周囲にはそう話していました。
なかでも娘を頼もしいと感じたのが、100歳を超えていたミチコさんの母親、つまりナオさんの祖母が亡くなったときです。
喪主はミチコさんでしたが、葬儀社との打ち合わせや親族への連絡、受付の段取りなど、実務の多くをナオさんが担いました。しかも前に出すぎず、「喪主はお母さんだから」と母親を立てて動きます。
親戚からも、「ナオちゃん、本当にしっかりしてるね」「いい娘さんを持ったね」と大評判。
ミチコさん自身、内心とても誇らしかったといいます。
孫自慢を聞いてこぼした余計な一言
ある日、ミチコさんは同年代の友人とお茶をしていました。
話題は子どもや孫のことです。
「孫が大学に入るの」「お盆に孫が泊まりに来てね。もう疲れちゃってヘトヘト」
そう話す友人を見ながら、ミチコさんは少し羨ましい気持ちになりました。その数日後、帰省していたナオさんに、つい口にしてしまいます。
「あんたも子どもさえいればねえ」
ナオさんの表情が変わりました。
ミチコさんは慌てて、「今が悪いって言ってるんじゃないのよ。ただ、女としての幸せもつかんでほしかったっていうか……」と続けます。
するとナオさんは、「結局、お母さんは私のこと認めてくれてないんだね」と怒り出しました。
何をしても「まだ足りない」
ミチコさんは驚きました。
娘のことは、ずっと自慢だったからです。
「認めてないなんてことないでしょう。私はずっと、あんたは優秀だって言ってきたじゃない」
しかし、その言葉にナオさんはさらに怒りました。
「大学に受かったときだって、『あんただったら東大にも行けたのに』って言ったよね」
ナオさんが進学した国立大学は、本人が希望して選んだ大学でした。学びたいこともあり、本人にとっては満足のいく進学先でした。
しかしミチコさんは、「国立と言っても二期校だし。あの子なら、もっと頑張れば東大にだって行けたと思うのよ」と親戚や知人に話すことがありました。
ミチコさんにとっては、娘の能力を高く評価しているつもりの言葉です。
けれどナオさんには、そうは聞こえていませんでした。
「学校も頑張った。仕事も頑張ってきた。おばあちゃんのお葬式だって、お母さんが困らないようにやった。離れていても、お母さんのことも猫のことも気にしてきた」
そして、「頑張っても頑張っても、いつも『もっと上がある』『あとは結婚』『あとは子ども』って言われる。私はいつになったら、そのままで認めてもらえるの?」と訴えました。