株式市場の変動リスクと実物資産による分散効果

投資信託や上場株式の価格は、企業業績だけでなくマクロ経済指標や投資家心理、アルゴリズム取引といった外部要因によって極めて流動的に動きます。市場全体が売り圧力に晒される局面では、銘柄を分散していても資産全体の評価額が同時に急減するリスクを避けられません。本質的な分散効果を得るには、単に銘柄数を増やすのではなく、「価格の連動性(相関性)が低い資産」を組み合わせる必要があります。
住宅系不動産が持つ「低相関」のメカニズム
株価が短期的に30%暴落したとしても、人々の「住まい」に対する需要が翌日に消失することはありません。株式や投資信託の価格が投資家心理やマクロ経済の動向、市場の流動性によって短期間で乱高下しやすいのに対し、居住用賃貸マンションをはじめとする住宅系不動産は、人々の実体生活に根ざした居住需要とそれに基づく賃料水準によって価値が支えられています。日々の市場心理で価格が変動する株式と、実体経済に基づく賃料収入を基盤とする不動産では、価格の決定構造そのものが異なります。株式を中心としたポートフォリオに、この低相関な不動産インカムゲインを組み込むことで、ポートフォリオ全体の価格変動リスクを抑える効果が期待できます。
実物資産をポートフォリオに組み込む価値
実物資産とは、不動産や貴金属のように、それ自体に物理的・実用的な価値が存在する有形資産を指します。ペーパーアセットの機動性と、実物資産の底堅さ。この2つを両立させることが、下落相場におけるディフェンス力を高めます。
現金保有のリスクとインフレに伴う「購買力」の目減り

「株式のリスクを避けるため、資産の半分以上を現金や銀行預金で保有する」という戦略も一見堅実に見えます。しかし、インフレ(物価上昇)局面においては、現金保有そのものが「目減りという名の確実なリスク」に晒されます。
年2%のインフレが資産に与えるインパクト
仮に日本銀行が目標とする「年2%」の物価上昇が継続した場合、銀行口座にある現金の「額面」は変わりません。しかし、モノやサービスの価値が上がるため、相対的に現金の購買力は落ち続けます。1,000万円の現金資産を保有しているケースで、実質価値の推移を計算してみます。
現在:1,000万円(購買力:1,000万円分)
5年後:1,000万円(購買力:約905万円分)
10年後:1,000万円(購買力:約820万円分)
10年後には実質的に約180万円分の購買力が消失する計算です。金利がほぼ付かない預金口座に固執することは、インフレに対して無防備と同義と言えます。
インフレヘッジとしての不動産
不動産などの実物資産は、物価上昇に伴って資産価格や賃料設定がスライドして上昇する傾向を持ちます。資産を単なる「数字としての現金」で放置するのではなく、物価変動に合わせて価値が調整される実物資産へ一定割合をシフトさせることが、購買力を防衛する有効なアプローチとなります。
当面使用予定のない余裕資金を運用する選択肢

資産形成においては、当面使用予定のない余裕資金について、運用期間や中途解約・譲渡の可否を確認したうえで、分散先の一つとして検討することが大切です。ここで選択肢となるのが、10ヵ月〜1年程度で運用が完結するファンドも多い「不動産投資型クラウドファンディング」の活用です。
運用期間の特性とリスク軽減構造の理解
現物不動産と比べ比較的短い運用期間の商品も存在する一方、原則として運用期間中の換金には制約があります。そのため、短期間で即座に現金化する必要のない資金で運用を行うことが前提となります。
また、多くのファンドでは「優先劣後出資」という仕組みが採用されています。これは、損失を一定範囲まで事業者側の劣後出資が先に負担することで、優先出資者の元本毀損リスクを低減する仕組みです。現物投資のような管理の手間をかけず、リスクを抑えながら不動産マーケットのインカムを得られる点が、このスキームの大きな特徴です。
ポートフォリオの安定性を高めるための実用的なアプローチ
新NISAを活用した株式投資信託の積立は、長期的な資産形成において極めて有効な手段です。しかし、ペーパーアセットだけに偏重した資産構成は、市場の急落やインフレ局面において一定の脆弱性を抱えることになります。株価と連動しにくい「住宅系不動産」を組み入れることや、余裕資金の分散先として「不動産投資型クラウドファンディング」を検討すること。これらを補完的に活用することで、資産全体の安定性を高めることが可能となります。
ダーウィンアセットパートナーズでは、マクロ経済の動向を踏まえた資産形成ノウハウや、不動産投資型クラウドファンディングの分析情報を定期的にお届けしています。持続可能なポートフォリオ構築の判断材料として、公式Webサイトや公式noteの情報をご活用ください。
