数ヵ月に一度、居酒屋で仕事の愚痴や先々の不安を語り合う間柄だった友人から、「実は、先月会社を辞めたんだ」というまさかの告白。「なぜ言ってくれなかったんだ」「俺はこのままでいいのか?」――そんな思いに苛まされることになった55歳会社員の事例とともに、サラリーマンという立場を離れることの自由と代償を、FPの青山創星氏が解説します。
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老後が不安だと、あんなに語り合ってきたのに…30年来の友人が、まさかの〈4,500万円でFIRE〉。「おめでとう」と言えなかった55歳会社員“複雑な心境”の理由【FPの解説】
割り勘だったのに…「奢るよ」のメッセージ
数日後、白石さんから届いたメッセージにはこうありました。
「急に驚かせてごめん。どう言えばいいかずっと迷ってたんだ。今度奢るから、よかったらこれからも一緒に飲んでくれよ」
割り勘だった関係が急に変わった気がして、返信の文字を打っては消しを繰り返しました。「嘘をつかれていたのか」。それ以上に池上さんを苦しめたのは、「なんで、これまで一度も言ってくれなかったんだよ」という思いでした。
結局、「ちょっと最近忙しくてさ。また落ち着いたら連絡するよ」とだけ返し、誘いを断りました。
池上さんは、あの夜のことを何度も思い返しました。嘘をつかれたと感じたのは事実です。けれど、「本当に嘘をついていたのだろうか」と考えると、うまく言葉にできませんでした。
思えば、あの「不安トーク」が心地よかったのは、二人が同じように働き、同じように将来を心配していたからでした。それなのに、なぜあの時間が急に色あせて見えるようになったのか? 答えは出ないまま、自分の足元だけでも見直しておこうと思い立ちました。