割り勘だったのに…「奢るよ」のメッセージ

数日後、白石さんから届いたメッセージにはこうありました。

「急に驚かせてごめん。どう言えばいいかずっと迷ってたんだ。今度奢るから、よかったらこれからも一緒に飲んでくれよ」

割り勘だった関係が急に変わった気がして、返信の文字を打っては消しを繰り返しました。「嘘をつかれていたのか」。それ以上に池上さんを苦しめたのは、「なんで、これまで一度も言ってくれなかったんだよ」という思いでした。

結局、「ちょっと最近忙しくてさ。また落ち着いたら連絡するよ」とだけ返し、誘いを断りました。

池上さんは、あの夜のことを何度も思い返しました。嘘をつかれたと感じたのは事実です。けれど、「本当に嘘をついていたのだろうか」と考えると、うまく言葉にできませんでした。

思えば、あの「不安トーク」が心地よかったのは、二人が同じように働き、同じように将来を心配していたからでした。それなのに、なぜあの時間が急に色あせて見えるようになったのか? 答えは出ないまま、自分の足元だけでも見直しておこうと思い立ちました。