「施設に入れたら終わり」ではない…住み替えで変わる家族の役割

その日からサトシさんは、タマコさんとの付き合い方を変えました。

毎週水曜日と日曜日には必ず電話。月に2回はサ高住へ行き、近くの喫茶店で一緒に昼食を取ることにしました。

さらに施設スタッフにも相談し、タマコさんが興味を持っていた体操教室への参加を勧めてもらいました。
数ヵ月後、母親から「今日は○○さんと一緒にお昼を食べたよ」という話を聞くことが増えました。

タマコさんを施設に入れたことで、サトシさんは「自分の役目が終わったような気になっていた」と安心しきっていましたが、それは大きな勘違いでした。

「安全を施設に任せられるようになった分、家族は母との時間を大切にすればよかったんです」

まさに、そこが重要なポイントです。高齢者住宅は家族の代わりになる場所ではありません。施設が担ってくれる部分が増えることで、家族は「介護する人」から「一緒に人生を楽しむ人」へ役割を変えることができます。

「施設に入ったから安心」ではなく、「施設に入ってから、どんな毎日を送っているのか」。そこまで確認して初めて、親の住み替えは成功したといえるのかもしれません。

武田 拓也
元介護施設職員/FP

※プライバシー保護の観点から、実際の相談者および相談内容を一部変更しています。

〈出典〉

■厚生労働省『サービス付き高齢者向け住宅について』
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish_sumai/

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