相続対策というと、「相続税をいかに減らすか」に意識が向きがちです。しかし、実務では一次相続だけを見て判断すると、二次相続で思わぬ税負担が発生することがあります。大切なのは、一次相続(父から母への相続)と二次相続(母から子への相続)を切り離して考えるのではなく、家族全体の将来を見据えて総合的に設計することです。今回は、FPの前田敏氏が実際に相談を受けた田中様(仮名・53歳)の事例をもとに、一次相続から二次相続、さらに不動産売却まで見据えた相続対策のポイントをご紹介します。
相続対策に欠かせない手続き
相続対策は考え方だけで完結するものではありません。次のような工程を、一連の流れとして進める必要があります。
- 相続人の確定
- 財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 相続登記
- 不動産売却
特に、2024年から相続登記が義務化されたため、早めに手続きを進めることが重要です。
専門家連携の重要性
相続は税金だけの問題ではありません。税理士は税務、司法書士は登記、不動産会社は売却戦略を担当し、FPは全体設計や資金計画をサポートします。
それぞれの専門家が連携することで、各ご家族にとって最適な解決策を実現することが可能になります。
相続対策で最も大切な〈4つのバランス〉
一次相続の節税は重要ですが、本当に大切なのは次の4つのバランスです。
- お母様の生活資金の確保
- 子どもたちが納得できる遺産分割の実施
- 二次相続までを含めた総税負担の最小化
- 不動産売却時の税負担の軽減
今回のケースでは、預貯金の先行分配、代償分割、遺産分割協議書の作成、相続登記、不動産売却、二次相続対策、譲渡所得税対策を組み合わせ、家族全体の利益を最大化する設計を目指しました。
相続税対策は単なる節税ではありません。一次相続と二次相続、不動産売却、各種手続きを一体的に考え、家族の将来にとって最善の選択肢を導くことが重要です。それこそが、本当の意味での相続対策だと私は考えています。
前田 敏
マネー・マネジメントFPオフィス
代表