成長企業と安定企業──市場が見ている利益の“時間軸”が違う
電力・ガスなどの安定企業とAI関連に代表される成長企業を比べると、将来利益の見方の違いがよくわかります。
安定企業は利益の変動が小さいため、今期や来期の予想利益が重視されます。一方、成長企業は現時点で赤字でも、将来利益が急拡大すると予想されれば高い評価がつくことがあります。
例えば、以下のような企業があったとします。
・来期予想:▲3億円
・来々期予想:20億円
・3年後予想:80億円
この企業の場合、今期や来期の予想利益ではPERは計算できません。しかし市場が「3年後には大きな利益を生む」と判断すれば、現在赤字でも高い株価がつくことがあります。
つまり、成長企業の株価は、現在の利益ではなく数年先の利益予想に反応しているのです。
ファンドマネジャーが見ているもの──株価ではなく「将来利益」
資産運用会社のファンドマネジャーは、市場コンセンサスをそのまま受け入れているわけではありません。企業訪問、決算分析、業界分析などを通じて独自に将来利益を予想し、それを市場コンセンサスと比較します。
市場が来期利益100億円と予想していても、自らの分析で120億円と判断すれば「市場は過小評価している」と考え投資します。反対に、自らの分析で80億円と判断した場合は、「市場は過大評価している」とみなして投資対象から外します。
ファンドマネジャーが予想しているのは、株価ではなく将来利益そのものです。
まとめ──株価の源泉は「将来利益」
株価の根拠は企業が将来生み出す利益です。日々の株価変動は、変動要素によって市場の将来利益予想のコンセンサスが変化することで起こります。
将来利益が株価を形成し、変動要素がその予想を揺らし、その結果として株価が動く。
これが株価変動の基本原理です。
投資家が本当に見るべきものは、日々の株価の上下ではありません。企業が将来どれだけ利益を生み出せるのか、そして市場がその将来の利益をどう評価しているのか。その視点こそが、株式投資のリターンの源泉を理解する第一歩なのです。
前田 敏
マネー・マネジメントFPオフィス
代表