老後資金は残りわずか…「夢の移住生活」が招いた代償

こうして都内に戻る決心をしたAさんですが、以前住んでいたマンションは売却してしまったことから、戻る家がありません。とはいえ、軽井沢で購入した一戸建てを売りに出し、また新たに都内のマンションを購入するには、赤字どころか、老後資金が底をつく計算です。

結局、Aさん夫婦は、息子夫婦が住む近くの小さな賃貸マンションに住むことにしました。

妻は都内に戻ったことで少しずつ元気を取り戻していますが、わずか10ヵ月の「夢の移住生活」のために多額の貯蓄を切り崩し、老後資金は残りわずかです。

令和2年の国勢調査によると、軽井沢の人口は1万9,188人。そのうち65歳以上は6,394人で、全体の33.3%を占めています。高齢者の割合が高い地域では、車移動が前提になりやすく、医療機関や買い物環境も都市部とは異なるため、生活の仕方に“慣れ”が必要です。Aさん夫婦が感じた不便さも、こうした地域特性が影響していました。

老後、移住を検討する際には、病院やスーパー・コンビニなど、日常生活に欠かせないインフラを調査し、可能であれば「お試し移住」などを体験したうえで、慎重に判断するようにしましょう。

「軽井沢移住、大失敗でした」と振り返るAさん。「憧れ」だけで移住を決め貯蓄を減らしてしまっては、生活設計が甘いといわざるをえません。

また、移住はどれだけシミュレーションしていても、想定外のことが起こるものです。「人づきあいがうまくいかない」「病気やケガ等により施設へ入居」など、移住がうまくいかなくなった場合の選択肢まで含めて、計画を立てておくのが安心です。

〈参照・出典〉
■長野県軽井沢町「軽井沢町の統計」
https://www.town.karuizawa.lg.jp/uploaded/attachment/5889.pdf

三藤 桂子
合同会社ミコサポ
代表

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