オルカンとS&P500投信が人気を集める理由
近年の投資ブームの中心にあるのが、下記2つの投資商品です。
- オルカン【eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)】
- S&P500【eMAXIS Slim 米国株式(S&P500投信)】
両ファンドを合わせた純資産総額は約26兆円に達し、新NISAの代表的な投資対象として多くの投資家に支持されています。人気の理由はシンプル。過去の運用実績が優れていたからです。
Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazonなど、世界を代表する企業は米国に集中しています。また、過去10年以上にわたり米国株は世界の株式市場をけん引してきました。その結果、「投資するなら米国」という考え方が広く浸透したのです。
さらに、オルカンとS&P500投信は「運用コストが低い」「少額から始められる」「個別銘柄を選ぶ必要がない」といった特徴もあり、投資初心者から経験者まで幅広い支持を集めています。
YouTubeやSNSでも、「迷ったらオルカン」「S&P500投信を積み立てておけば大丈夫」などの情報を目にする機会が増えました。
オルカンは本当に世界分散投資なのか
オルカンは、日本、米国、欧州、新興国など世界中の企業に投資するファンドです。そのため、「オルカン1本で世界分散投資が完成する」と言われることがあります。
たしかに投資対象国は世界中に分散されているのですが、投資家が見落としやすい特徴があります。
それは、時価総額加重型であることです。現在、世界株式市場の時価総額の約6割を米国企業が占めています。つまり、オルカンに投資すると、結果として約6割が米国株になります。世界中に投資していることは事実ですが、その実態は「米国株中心の世界分散投資」なのです。
オルカンとS&P500投信を組み合わせるとどうなるのか
阿部様の場合、以下の配分で株式を保有していました。
- オルカン:500万円
- S&P500投信:500万円
一見すると2つの商品に分散投資しているように見えます。しかし、中身を分析すると違った姿が見えてきます。
オルカン500万円のうち、約300万円は米国株です。そこにS&P500投信の500万円が加わるため、約800万円が米国株となります。つまり、資産全体の約80%が米国株という状態になっているのです。さらに米国株への投資は、実質的にドル資産への投資でもあります。そのため、「米国株集中」「米ドル集中」が同時に発生します。
私は米国株投資そのものを否定しているわけではありません。経済大国であり、軍事大国であり、基軸通貨ドルを持つ米国は、今後も重要な投資先であり続ける可能性が高いでしょう。しかし大切なのは、「米国に投資することと米国に集中しすぎることは別の話である」ということです。