特別養護老人ホームの空きを待つ間に、介護者の減収や介護費用の持ち出しが膨らみ、結果的に数百万円もの損失を生むケースもあります。目先の施設費だけを比べて「特養が空くまで待つ」と決めると、家族の収入や健康、そして自身の老後資金まで失うことになりかねません。本記事では事例をもとに、特養待機に潜むリスクと親の介護と子どもの生活を両立する方法について、元介護施設職員でFPの武田拓也氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「私、もう限界かも…」年金月10万円・78歳母の介護を続けた54歳娘の後悔。〈特養〉を申し込んだ2年後、念願の入居と引き換えに払った“大きすぎる代償”【元介護施設職員のFPが解説】
介護者が倒れる前に…親の安全と子どもの「生活基盤」を守る方法
特養に申し込んだあと、本人や家族の状況が変わった場合は施設やケアマネジャーへ速やかに伝えることが重要です。特に、「要介護度が上がった」「認知症が進行した」「転倒や徘徊が増えた」「介護者が病気になった」といった変化は、入所の優先度に影響する可能性があります。
申込内容が自動的に更新されることはありません。施設によって変更届や診断書、介護者の状況を説明する書類が必要になる場合もあります。また、自宅に近い施設だけに限定せず、通える範囲の複数施設へ申し込み、定期的に待機状況を確認することも大切です。
特養への入居を希望すること自体は間違いではありません。問題は「特養以外は利用しない」と決めてしまうことです。毎月の施設費を節約するために、子どもが仕事を辞めたり、収入を大幅に減らしたりすれば家族全体では、かえって大きな損失になります。
ミナミさんが失ったお金は単なる過去の支出ではありません。本来なら老後資金として運用できたお金であり、将来受け取る厚生年金や退職金、昇進の機会にも影響します。
介護では親の安全と同じくらい、介護する子どもの仕事、収入、健康を守る視点が重要です。介護者が限界を迎え、手元の資金が枯渇してからでは選べる方法が限られてしまいます。
「まだ頑張れる」と思っていても早めのタイミングで地域包括支援センターやケアマネジャー、勤務先に相談しましょう。
武田 拓也
元介護施設職員/FP
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