2024年から始まった新NISA。非課税枠の拡大や制度の恒久化によって、多くの人が投資に関心を持つようになりました。「新NISAを始めた方がいいらしい」―そんな言葉に後押しされ、NISA口座を開設した人も多いでしょう。しかし、その一方で「何を買えばよいのかわからない」「利益が出ても売り時がわからない」といった人も少なくありません。これは新NISAそのものが悪いわけではなく、「新NISA」という制度が注目されるあまり、本来考えるべきことを飛ばして投資を始めてしまうことにあります。今回は、投資をしたいと思ったときに考えるべきステップを丁寧に解説します。
「とりあえず新NISAやっとこ」はNG!投資の目的が決まっていないのに商品を選ぶ「とりあえず投資」に警告【資産運用会社32年勤務のFPが解説】

そもそも新NISAとは何か

まず理解しておきたいのは、新NISAは「商品」ではなく「制度」だということです。投資によって得られた利益や、配当に通常で約20%かかる税金が非課税になる仕組みです。

 

主な特徴は、以下のとおりです。

  • 非課税期間が無期限
  • 生涯投資枠1,800万円
  • 年間投資枠360万円
  • 売却した枠の翌年以降の再利用が可能

 

長期の資産形成にとって非常に有利な制度ですが、あくまでも投資を行うための「器」にすぎません。器だけ用意されても、何のために使うのかが決まっていなければ、資産形成はうまくいかないのです。

 

つみたて投資枠が初心者向きである理由

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。

 

特に初心者向けとされるのがつみたて投資枠です。対象商品は、金融庁の基準を満たした約360本の投資信託とETF(上場投資信託)に限定されています。

 

その条件は、以下の3つです。

  • 長期投資に適している
  • 手数料が低い
  • 積立投資に適している

 

そのため、極端にリスクの高い商品や、高額な手数料の商品は原則として除外されています。

 

新NISAのつみたて投資枠の代表的な商品には、下記のようなものがあります。

  •  eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  •  eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
  • SBI・Vシリーズ

 

もちろん元本保証ではありませんが、「長期・積立・分散」による資産形成を目的とした商品が中心であるため、投資初心者でも始めやすい仕組みになっています。

 

なぜ「とりあえず新NISA勢」は生まれるのか

新NISAをとりあえず始めようとする人に共通する特徴があります。それは、新NISAという制度から考え始めていることです。

 

本来、投資は次の順番で考えるべきです。

 

STEP1:目的を決める

老後資金や教育資金、住宅購入資金など、何のためにお金を増やしたいのかを決めます。

 

STEP2:必要金額を決める

例えば、「老後資金3,000万円」「教育資金500万円」といった具体的な目標金額です。

 

STEP3:期間を決める

5年後なのか、10年後なのか、20年後なのか、いつまでに目標金額を達成したいのかを考えます。

 

STEP4:商品を決める

投資信託、ETF、株式などの具体的な商品を選びます。

 

STEP5:制度を選ぶ

ここで初めて、以下のような各種制度を検討するのです。

  • 新NISA
  • iDeCo
  • 企業型DC
  • 特定口座