相続人が複数いる場合、相続が発生すると遺産分割協議が行われます。ここで最も強い効力を持つのが「遺言書」です。この遺言書がトラブル解決のカギになることもありますが、その内容がかえって火種になるケースもあります。38歳のカズキさん(仮名)は、享年90歳の祖母が遺した遺言書の内容にあ然。自分だけ、遺産相続から除外されていたのです。弁護士法人山村法律事務所の代表弁護士・山村暢彦氏が、遺言で相続分をゼロにされた場合の遺留分の法的扱いについて解説します。
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「ばあちゃん、なんで俺だけ…」資産1億2,000万円・90歳祖母の遺言書に言葉を失った日。孫4人のなかで〈大手IT勤務・38歳孫〉だけが遺産相続から除外されたワケ【弁護士が解説】
【弁護士が解説】遺言書で取り分がゼロでも、「遺留分」は守られる
遺言書で、特定の相続人だけに財産を渡さないと定めること自体は可能です。ただし、カズキさんは、先に亡くなった父親に代わって祖母の相続人となっているため、遺言で取得分をゼロとされても、最低限保障された取り分である「遺留分」を請求できる可能性があります。
遺言書に除外した理由が書かれていても、それだけで遺留分まで失うわけではありません。
もっとも、祖母から援助を受けた学費や留学費用、マンション購入資金などが「特別受益」に当たる場合には、請求できる遺留分の金額に影響することがあります。ただし、教育費や生活費がすべて特別受益になるわけではなく、援助の金額や目的、祖母の資産状況、家族の生活水準などを踏まえて個別に判断されます。
祖母としては、生前の援助も含めて全体のバランスが取れるよう配慮したのでしょう。しかし、事前の説明なく自分だけが遺言から外されれば、本人は「愛情まで否定された」と受け止めてしまうことがあります。
財産の配分に差を設ける場合には、その理由を付言事項に残すだけでなく、可能であれば生前に考えを伝え、援助の内容や金額も記録しておくことが、相続後の感情的な対立を防ぐうえで重要といえるでしょう。
山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
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