親の介護問題は、ある日突然降りかかってきます。とくに「家や財産を継ぐのは長男」という古い価値観をもつ親の場合、離れて暮らす娘には介護を押しつけ、長男には財産を相続させるという理不尽なケースもあるでしょう。弁護士法人山村法律事務所の代表弁護士・山村暢彦氏が、実家の全財産3,800万円は長男に譲ると宣告された53歳長女の事例を通じて、理不尽な介護の押しつけから自分自身の人生や権利を守るための対処法について解説します。
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「私はただの介護要員ですか…」〈全財産3,800万円〉を長男に継がせようとする父。53歳長女が絶望した「理不尽な要求」【弁護士の助言】
「仕事を辞めて戻ってきてくれ」父から“突然の呼び出し”
都内のメーカーで正社員として働くサチコさん(仮名・53歳)は、大学進学を機に上京して以来、地方にある実家とはほとんど連絡を取らずに生きてきました。4歳年下の弟は地元で就職し、実家の近くに住んでいますが、もう何年も顔を合わせていません。
サチコさんの父は、「男は家の跡取り、女はいずれ嫁に行く身」という古い考えをもつ人でした。しかし最近になって、70代後半の両親から電話がかかってくるようになりました。
父が持病を悪化させて日常生活に支障が出始め、母も膝を痛めて老老介護が難しくなってきたというのです。
「サチコ、仕事を辞めてこっちに戻ってきてくれないか。お父さんたちの面倒を見て、この家を守ってほしいんだ」
何十年も放っておかれた挙句の突然の呼び出しに、サチコさんは困惑しました。
親の世話は長女の役目…〈全財産3,800万円〉を長男に継がせようとする父
サチコさんには今の仕事と生活があり、簡単に地元へ戻れる状況ではありません。それでも親を見捨てるのは気が引けたため、実家の近くにいる弟に協力してもらえないかと両親に提案しました。
しかし、返ってきたのは予想外の言葉でした。
「あいつにはあいつの仕事と家庭があるんだから、負担をかけられない。親の世話をするのは娘の役目だ」
さらにサチコさんを絶望させたのは、実家の財産に関する父の考え方でした。実家には、築40年の家と土地(評価額800万円)に加え、預貯金などの金融資産が約3,000万円あると聞いています。
「それなら、私が仕事を辞めて介護をする代わりに、実家の財産を少しは分けてもらえるの?」と尋ねると、父は呆れたようにこう返答しました。
「何を言っているんだ。家と財産はすべて長男に継がせるに決まっているだろう」