「15年間で630万円以上になる!」加給年金にガッツポーズの65歳夫

ヒロアキさん(仮名・65歳)は、年収800万円の会社員です。定年を目前に控え、いよいよ年金受給が始まろうとしています。65歳以降も、給与は下がるものの、勤務先の再雇用制度を使って働き続けるつもりです。

妻のアイさん(仮名・50歳)は15歳年下で、パート勤務です。アイさんの年収は約100万円で、夫婦合わせた世帯年収は900万円になります。これまでヒロアキさんの扶養に入り、国民年金の第3号被保険者でした。

ヒロアキさんは老齢厚生年金と老齢基礎年金が受給できますが、さらに「65歳未満の配偶者」であるアイさんがいることで、老齢厚生年金に「配偶者加給年金」が上乗せされます。配偶者加給年金の加算額は年額42万3,700円(2026年度)で、アイさんが65歳になるまで加算されるため、ヒロアキさんが65歳で年金受給を開始すると、15年間加算が続くことになります。

加給年金を含めると、ヒロアキさんの年金受給見込額は年間260万円ほどです。

「年間42万3,700円なら、15年で630万円以上になる。年の差婚でよかった!」

ヒロアキさんは加給年金の総額を計算して、思わずガッツポーズ。2028年4月から配偶者加給年金が減額(現行の1割減)される法改正もありますが、改正前に65歳になるヒロアキさんは減額の対象外でした。

夫の収入は半減、息子は大学生…「そんなこと言ってられるの?」手放しで喜べない50歳妻

しかし、アイさんは「そんなこと言ってられるの?」とよい反応を示していませんでした。

65歳以降、ヒロアキさんの年収は現在の半分の400万円になります。この収入であれば在職老齢年金の支給停止には該当せず年金はカットされませんが、給与と加給年金を合わせても年収は660万円ほどです。加給年金の期間が長くても、65歳以前より収入は大きく減ることになります。

また、2人にはひとり息子のショウタさんがいます。ショウタさんは現在大学2年生で、まだまだ学費がかかる時期。そのうえで、自分たちの老後も考えなければならない状況です。

さらに、50歳のアイさんはこれまで扶養に入っていたため年金保険料を負担していませんでしたが、今後は国民年金の第1号被保険者となり、国民年金に加入義務のある60歳までの10年間は、自分で保険料を負担する必要があります。

国民年金保険料は、2026年度が月額1万7,920円、2027年度が月額1万8,290円となり、10年間で200万円以上支払うことになりそうです。

つまり、たとえ加給年金が15年間で630万円以上受け取れるとしても、その一方でアイさんには10年間で200万円以上の年金保険料の支出が発生することになります。

このことについて、ヒロアキさんは「65歳以降も会社で働くんだから、その配偶者は第3号被保険者のままじゃないのか?」と疑問を持っていました。