「えっ、どういうこと?」追加出費が発生も、総支払額が安くなったワケ

しかし、実際に届いた請求書を見て、ヒサミさんは目を疑いました。追加費用が発生しているにもかかわらず、総支払額は以前より少し安くなっていたのです。

「えっ、どういうことですか?」

思わずヒサミさんが問い合わせると、施設職員は優しく教えてくれました。理由は、「自立」の状態で全額自己負担していた生活支援サービスの一部が、要介護認定後は「介護保険サービス」の自己負担分に切り替わったためだといいます。

セツコさんが入居する施設では、自立の入居者に対して、安否確認や生活相談、居室清掃、洗濯補助、買い物代行、服薬確認、館内移動の軽いサポートなどを「生活支援サービス」として提供していました。こうした支援は施設独自のサービスであり、月額費用に全額自己負担として上乗せされていたのです。

しかし、要介護認定を受けたことで、これらのうち一部の支援が介護保険サービスに置き換わり、自己負担割合が下がりました。その結果、追加費用が発生しているにもかかわらず、総支払額はむしろ安くなったというわけです。

「要介護になったら、老人ホームの費用は一気に上がるものだと思ってました」

思わぬ負担減に、ヒサミさんは笑顔がこぼれました。

「介護度」だけでは決まらない老人ホームの費用

老人ホームの費用について、多くの人は「元気なうちは安く、介護が必要になると高くなる」と考えがちです。

たしかに、一般的には介護度が上がるほど費用が増える傾向があります。おむつ代や医療費、通院付き添い、個別対応サービス、福祉用具、理美容、嗜好品など、介護保険の対象外となる実費負担が増えるためです。

しかし、今回の事例のように、自立時に高額な生活支援費を全額自己負担していた場合、要介護認定によって介護保険の対象サービスに切り替わり、結果として総支払額が下がることがあります。

特に高級老人ホームでは、自立の入居者向けのサービスが充実していることも少なくありません。食事、見守り、生活相談、清掃、洗濯、買い物代行、イベント、送迎、健康相談など、快適な暮らしを支えるサービスが手厚く用意されています。

一方で、これらの費用が月額利用料に含まれているのか、あるいは別途「生活支援費」として請求されるのかは施設によって異なります。この点を確認しないまま入居すると、あとから「思っていたより高い」と感じることがあるため注意が必要です。