近年、長年連れ添った夫婦が別の道を歩む、いわゆる「熟年離婚」が目立っています。離婚にいたる原因はさまざまですが、「自由」を求めて離婚を決断したあと、“想定外の出来事”により残酷な現実が待ち受けているケースもあるようです。勢いで三行半を突きつけた60代夫婦の事例をもとに、熟年離婚の落とし穴と対策についてCFPの山﨑裕佳子氏が解説します。
「もう疲れました。離婚しましょう」…長年のワンオペ育児・義母の介護に限界を迎えた63歳専業主婦。〈財産分与800万円〉で“束の間”の自由を満喫も、直面した過酷な現実【CFPの助言】
【CFPの助言】赤字転落から抜け出す「3つの逆転策」
思うように働けず窮地に立たされたトモコさんですが、これからできる対策があります。具体的には、次の3つです。
1.家計の見直し
収入が減ってしまったことで赤字が出ているのなら、支出を減らすことが急務です。食費や日用品などの変動費はもとより、家賃や光熱費などの固定費の見直しが効果的です。
特に家賃は支出に占める割合が高いため、今後収入を増やせる見込みがない場合、引っ越しを含めて家賃を抑える方法を検討する必要があります。
2.年金の繰上げ受給の検討
年金受給は原則65歳からですが、申請すれば受給開始のタイミングを60歳から75歳までの任意の時期に変更できます。
65歳より前に受給を始める「繰上げ受給」は、1ヵ月につき0.4%年金が減額されます。一方、65歳よりあとに受給を始める「繰下げ受給」では、1ヵ月につき0.7%年金が増額されます。いずれの場合も、減額・増額された金額は一生涯変わりません。
貯金を取り崩す生活が続くようであれば、繰上げ受給によって生活が安定する可能性があります。トモコさんの年金額は月8万円の見込みですが、仮に受給を2年(24ヵ月)繰り上げて63歳から受給開始した場合、減額率は0.4%×24ヵ月=9.6%となり、受給額は8万円×(100%-9.6%)=約7万2,000円となります。
3.働き方の再検討
40年ぶりのフルタイム勤務は身体への負担が大きく、結果として収入減につながってしまいました。無理をし続ければさらに収入が不安定になるリスクが高まります。
現在の職場で勤務時間を少し増やせないか相談したり、身体への負担が比較的少ない事務職への転職を検討したりするのも手です。自治体のシニア向け就労支援があれば積極的に活用し、自分の体力に合った、長く続けられそうな働き方を探すことが重要です。
また、ひとりで悩みを抱え込まないことも大切です。近くに相談できる人がいない場合は、自治体の生活相談などを利用することも検討しましょう。
せっかくの人生のリスタートを「正解」にするために、収入、住まい、働き方を含めたライフプランを再設計することが重要です。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
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