さらなる悲劇…年金事務所で突きつけられた「まさかの現実」

ミユキさんの悲劇はそれだけでは終わりません。

「遺族年金があれば、なんとか生活できるかもしれない」と考えたミユキさんでしたが、年金事務所の担当者から告げられたのは残酷なひと言でした。

「ミユキさんが受け取れる遺族年金は、月約3万円の遺族厚生年金だけですね」

夫は15年前に独立して以降、国民年金に加入していた期間が長く、厚生年金の加入期間は18年間。そのため、加算給付の対象にもならないと説明を受けます。

借金は200万円。遺族年金は月約3万円。頼りにしていた遺族年金も想像を大きく下回り、ミユキさんは将来への不安を隠せません。

「これから、どうやって生活していけばいいの……」

※ 「約3万円」は、下記の計算式に基づく。
41万円(標準報酬月額)×5.481/1000×216ヵ月=48万5,397円
48万5,397円×0.75=36万4,048円
36万4,048円÷12=30,337円

【CFPが解説】「中高齢の寡婦加算」の受給要件

配偶者を亡くした際に受け取れる遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。

遺族基礎年金は、国民年金に加入していた人が亡くなった場合に、遺された「子のある配偶者」または「子」の生活を支えるための制度です。一方、遺族厚生年金は、亡くなった方の厚生年金の加入実績に応じて支給される年金です。受給額は報酬額や加入期間によって異なり、基本的な計算式は次のとおりです。

【遺族厚生年金の計算式】

(1)加入月数が300ヵ月未満の場合:平均標準報酬額×5.481/1,000×300×3/4

(2)加入月数が300ヵ月以上の場合:平均標準報酬額×5.481/1,000×加入月数×3/4

※300月みなしは、受給要件によって適用されないケースがあります。

さらに、一定の要件を満たす場合は「中高齢の寡婦加算」という給付加算を受け取れます。2026年度の支給額は年額63万5,500円(月額約5万3,000円)です。遺族年金に上乗せされるため、のこされた家族にとって大きな支えとなります。

中高齢の寡婦加算の主な受給要件は次のとおりです。

・生計を同じくする子がいないこと

・40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない妻であること

・夫の厚生年金加入期間が20年以上あること

ミユキさんの場合、夫が独立後に国民年金へ切り替わっていた期間が長く、厚生年金の加入期間が18年間だったため、対象外となってしまいました。

会社員から独立を考えている場合は、厚生年金の加入期間を一度確認しておくとよいでしょう。20年まであとわずかであれば、20年を超えてから独立することも選択肢のひとつです。将来、のこされた家族への保障につながる可能性があります。