老後に向けて資産形成を頑張っているものの、「将来が不安で、せっかく貯めたお金を自分のために使えない」と悩む人は少なくありません。しかし、ただお金を増やすことだけを目的化して今の生活の楽しみを犠牲にしては、充実した人生を送ることはできません。本記事では、将来の漠然とした不安をなくし、「自分は今、いくらまでなら自由に使っていいのか」を明確にするための具体的なシミュレーション方法を、YouTubeチャンネル登録者数40万人超の人気FP・鳥海翔氏が解説します。
老後資金に手をつけるのが怖い…〈資産2,000万円〉のシミュレーションで割り出す「自由に使っていい金額」【FPが解説】
やりたいことはあるのに…資産を使えない人の「根本的な原因」
旅行や新しい趣味に興味があっても、多くの人は「お金が心配だから」「忙しくて時間がないから」と言い訳をして行動を止めてしまいます。しかし、本当の問題はお金や時間の不足ではありません。
根本的な原因は、「自分の生涯における全体的な設計(見通し)が作れていないこと」にあります。
つまり、「自分は将来いくらお金が必要で、今いくらまでなら自由に使っていいのか」という明確な基準がわからないため、漠然とした不安から「お金が減ること=危険」と錯覚してしまっているのです。豊かさを得るためには、この「いくら使っていいかわからないから使えない」という状態から抜け出す必要があります。
現状の資産と将来の収支を正確にシミュレーションして見通しを立て、「この金額なら今すぐ自分のために使っても老後は大丈夫だ」という確固たる根拠を作ることが、後悔しない人生設計の第一歩となります。
漠然とした不安を数字に変える…シミュレーションに必要な「4つの項目」
将来の見通しを立てるためには、なんとなくの不安を具体的な「数字」に落とし込む必要があります。まずは以下の4つの項目を洗い出してみてください。
・今の資産(または年金生活開始時にできている想定の資産額)
預貯金や投資信託など、保有している資産の総額を把握します。現在のペースで積立投資を継続した場合、年金受給時にいくらになっているかという想定額でも構いません。
・毎月の生活費
ここは感覚で計算してはいけません。パッと頭に浮かんだ金額はたいてい間違っているため、実際の通帳や家計簿を見て「年間を通した支出総額」を出し、それを12ヶ月で割って「正確な毎月の生活費」を算出してください。
・受け取れる年金額
将来、自分が毎月いくらの年金を受け取れるのかを確認します。
・手元に現金として残しておかないと困るお金
医療費、介護費用、あるいは突発的なトラブルに備えて、投資などに回さず絶対に「現金」として持っておきたい安心の金額を設定します。