【CFPが解説】支援を断れない「孫へのバイアス」…赤字家計を加速させる定額送金

このような悲劇が起きる背景には、シニア世代に見られる「孫へのバイアス」が考えられます。

特に「教育費」という名目は、支援を断れば孫の将来を奪うかのように感じられ、心苦しくなりがちです。無理を承知で引き受けてしまううえ、一度始めると途中でやめにくく、長期にわたって家計の固定費になりやすい性質があります。

近年の総務省「家計調査」によると、高齢夫婦無職世帯の平均収支は月数万円程度のマイナス傾向がみられます。そんななか、事例のように収入の2割超を定額送金していたとなれば赤字家計も当然です。このまま支援を継続していれば、老後資産の目減りは加速の一途をたどっていたでしょう。

もちろん、息子が嘘をついて資金援助を求めていた点は看過できません。ただ、親の懐事情を知らないがゆえに、「年金で悠々自適に暮らしている」という誤解から「なんとかしてくれる」という親への甘えがエスカレートした一面もありそうです。

いずれにせよ、無謀な資金援助の末、親の老後資金が枯渇すれば息子世帯も巻き込んで両世帯共倒れのリスクがあることを親子共に自覚しておく必要があります。

「孫のため」という言葉の裏で、子世帯の経済的依存が常態化しているなら、親子間であってもシビアな線引きが必要です。年金収入や預貯金残高、将来の介護費用、住まいの維持費などを数字で確認し、「これ以上は出せない」という現実を親子で共有しなければなりません。

もっとも、孫を思う祖父母の気持ちまで否定する必要はなく、お金のルートを変えることで解決できることもあります。たとえば、実際の塾代を請求書で確認し、可能な額であれば祖父母が塾へ直接支払うという方法です。使途と金額が明確で「教育費以外に使われた」という今回のようなトラブルは避けられます。

また、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」は、2026年3月末で終了していますが、この「都度贈与」であれば原則として非課税で贈与可能なので、税制面の心配もクリアできます。