「孫の教育費」と言われると、つい無理をしてでも援助したくなるシニア世代は少なくありません。しかし、その善意が思いもよらない金銭トラブルや「老後破綻」を引き起こすことも……。本記事では、年金月23万円から孫の塾代として「月5万円の仕送り」を3年間続けたものの、息子のあり得ない使い込みが発覚し激怒する70代夫婦の事例をもとに、シニア世代が陥りやすい「孫へのバイアス」と、共倒れを防ぐための正しい防衛策をCFPの山原美起子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「耳をそろえて返せ!」孫のために〈月5万円の仕送り〉を続ける年金月23万円・70代夫婦。3年後、息子の「衝撃の裏切り」に激怒【CFPが解説】
孫の塾代として「月5万円の仕送り」を続けた70代夫婦
「僕、中学受験なんてしないよ?」
「そろそろ受験だね。どこの中学に決めたんだい」と何気なく尋ねた後藤さん夫妻(70代)に、孫は不思議そうな顔でそう答えました。
夫妻は次の言葉が見つからず絶句。というのも、一人息子から「子どもを私立に入れるため塾代を助けてもらえないか」と相談され、夫婦は3年にわたり月5万円の仕送りを続けていたからです。
夫婦の年金収入は月23万円で、生活に余裕があるとは言えません。それでも「孫が立派な学校に行けるなら」と自分たちに言い聞かせ、節約しても足りないときは預金を取り崩して用立てました。息子から「塾の宿題で大変みたいだよ」と聞くたび、夫婦は「頑張っているんだな」と目を細めていたのです。
3年間で180万円の仕送りが「息子の車のローン」に消え激怒
「一体どういうことだ」と息子に確認すると、「生活費が足りなくて、塾も受験もやめた」と言います。
夫婦共働きでなぜ生活費が足りないのか。さらに問い詰めると、無理して購入した新車のローン返済が苦しく、仕送りを充てるようになってしまったと言うのです。
「3年間で180万円。これは孫の将来のために用意したお金だ。受験しないなら、耳をそろえて今すぐ返せ!」
孫への愛情を利用されたと感じた夫婦の自尊心は深く傷つき、老後資金を減らしてしまった後悔も重なって、怒りと絶望に立ち尽くすことになったのです。