妻の逝去で一変した日常

栃木県に住むマコトさん(仮名・69歳)。3年前に最愛の妻を亡くしてから、5LDK・庭付きの戸建てに一人で暮らしていました。

当時は、2人の子どもが伸び伸びと育つようにと気合いで買った念願のマイホームでした。しかし、子どもたちが独立し、さらに妻に先立たれたことで、広い家は一気に静まり返ります。

「妻が亡くなってからの数ヵ月間は、思い出の家を守り抜こうと、家事や掃除を頑張っていました。でも家全体の掃除を一人で続けるのは体力的にきつくて、最後のほうは自分が使う部屋しか掃除していませんでした」

負担は室内だけではありません。自慢の庭も、手入れしなければ雑草は容赦なく伸びます。草むしりや植木の剪定は、60代後半の体には過酷な重労働でした。

マコトさんの年金は月15万円ほど。貯金は約500万円ありますが、自身の介護・医療費や葬儀代などのため、できれば手をつけたくなかったといいます。住宅ローンこそ完済しているものの、固定資産税の支払いや老朽化した水回りの修繕費、いずれ必要になる外壁塗装の費用を考えると、年金だけでこの家を維持していくことへの不安は膨らむばかりでした。

「自分がさらに老いて動けなくなったとき、この家はどうなるのか。そして何より、私が亡くなったあとにこの家を子どもたちに引き継がせるのは申し訳ないと思ったんです」

こうして、マコトさんは元気なうちに家を売却し、身軽になる決断をしたのでした。

なんで…息子、まさかの猛反対

住み替えを決意したマコトさんですが、その計画を伝えたとき、近郊に暮らす長男からは猛烈な反対を受けました。

「思い出の実家じゃないか。それを、わざわざ小さな団地に引っ越すなんて信じられない!」

長男にとっては、思い出の詰まった実家がなくなることへの寂しさや、父親が「都落ち」するように見えてしまうことへの抵抗感があったようです。しかし、マコトさんの決意は揺らぎません。そして、息子にこう告げました。