金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果」によると、NISAの口座数は2025年12月末時点で2,826万口座と、新NISA開始前(2023年12月末)から約700万口座増えています。こうしたなか、日経平均株価は2023年末から現在までに約2倍に上昇しており、この上昇相場で大きく資産を増やした人も多いでしょう。ただ、なかには“痛い目に遭った”投資家もいるようです。とある個別銘柄に投資した60歳男性の事例を紹介します。
嘘だ、嘘だろ…年金月17万円見込・退職金1,000万円の60歳・無職男性が「5時間で70万円」失った午後2時すぎ
再雇用を断った60歳男性
「嘘だ、嘘だろ……待って待って待って」
スマートフォンに表示された真っ赤な評価損の数字を前に、トオルさん(仮名/60歳)は自室で頭を抱えていました。わずか数時間前まで感じていた高揚感は消え失せ、冷や汗が止まりません。
今年3月末に定年退職したトオルさん。退職直前の年収は約700万円でした。会社からは再雇用の誘いもありましたが、「仕事内容や責任は変わらないのに年収が半減する」という条件に納得がいかず、退職を選択したそうです。
トオルさんはバツイチで、現在一人暮らし。子どもの養育費は払い終えていることもあり、定年後はひとりでゆっくりしたいという思いがあったといいます。
そんなトオルさんの資産状況は、現役時代に貯めた貯金800万円に退職金1,000万円が加わり、1,800万円です。持ち家は離婚時に前妻へ譲渡したため、現在は賃貸暮らし。65歳からの年金受給(月額約17万円見込み)までの5年間は無収入となるため、老後資金としては決して余裕があるわけではありませんでした。
老後資金を増やさないと…トオルさんの決意
そんななか、退職金が振り込まれた銀行から「無料資産運用セミナー」の案内が届きます。「時間もあるし、話だけでも聞いとくか」と参加したトオルさんは、資産運用の重要性を痛感しました。
セミナー終了後、銀行員から預り資産口座開設の勧誘を受けたものの、その場では決断できずに帰宅したトオルさん。
帰宅後にインターネットなどで調べてみると、手数料や手軽さなどの観点でネット証券がよさそうでした。そこで早速ネット証券の口座を開設し、同時にNISAを申請。その日以降、毎日のように株式投資に関する本や新聞、ニュースを確認する日々を送ります。するとどうやら、世間ではAIや半導体関連株がブームのようでした。
