トオルさんを釘付けにした“とある個別株”

5月の大型連休明け、トオルさんはSNSや掲示板で“出遅れ半導体株”として注目されていた「F社」の存在を知りました。

連日、すさまじい値動きを見せるF社。「今乗れば、短期間で資産を大きく増やせるのでは」という期待と、「初心者が手を出していいのか」という不安の間で激しく葛藤します。

そして5月27日。朝から急騰するF社の株価を見て、トオルさんは「リスクをとった者だけがリターンを得られるんだ」と自分に言い聞かせ、NISAの成長投資枠を使って1株3,070円で700株(約215万円分)を購入しました。

するとすぐに、株価は3,075円に上昇します。

「もう3,500円プラス!? 一瞬で今日の飯代が浮いた」と興奮するトオルさん。しかし、そこが天井でした。

F社の株価はしばらく3,075円に張り付いたあと、突如反転します。後場に入ると下落スピードはさらに加速し、株価の下落幅は1,000円弱、画面上の含み損は約70万円に達しました。

パニックに陥ったトオルさんは「明日もっと下がったら正気を保てない」と、午後3時前に1株2,075円で損切りしてしまったのです。

5月27日、午前9時過ぎから午後2時過ぎまでのわずか約5時間で、696,500円もの大金を失ったトオルさん。当時の心境をこう振り返ります。

「しばらく現実が受け入れられず、呆然としてしまいました。偶然見つけたよく知らない銘柄だったから今後上がるという根拠もなくて、このザマです。いま思えば、あれは投資じゃなくて完全にギャンブルでした」

新NISAスタート以降、急増する「投資初心者」の実態

金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果」によると、NISAの口座数は2025年12月末時点で2,826万口座でした。新NISAがスタートする直前の2023年12月末は2,125万口座、翌年の12月末は2,559万口座であり、急速に広がっていることがわかります。

また同調査によると、開設済NISA口座のうち、60歳以上が31.7%を占めていました。このように、NISAを通じてシニア層にも投資のすそ野が広がっているようです。

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