(※写真はイメージです/PIXTA)
築40年の平屋を颯爽と走る「ロボット掃除機」
「フミヤ、半年も帰ってこんだねえ、元気にしてたけ?」
迎えてくれたトシ子さんは相変わらず元気そうでしたが、フミヤさんの目は彼女の足元に釘付けになりました。築40年の古い畳の上を、最新型のロボット掃除機が走っていたからです。
「母さん……これ、どうしたの? まさか変な訪問販売にでも騙されたんじゃ……」
不安になったフミヤさんは、台所で料理を作ってくれている母に向かって切り出しました。
「あのさ、母さんの年金だけじゃ生活キツいだろ? 俺、少しだけど毎月仕送りをしようと思ってさ」
すると、トシ子さんは焼きそばを作りながら、呆れたように笑いました。
「仕送りなんか気にしちょし。あんた、大阪の生活だって大変ずら」
余裕のないはずの家計に漂うゆとり
フミヤさんが仕送りを申し出たのには、自営業者だった父が亡くなり、母が暮らしに困っているのではと心配になったからです。
総務省「家計調査 家計収支編 2024年平均」によれば、高齢単身無職世帯(65歳以上の一人暮らし)の1ヵ月の平均消費支出は14万5,335円。地方の持ち家で家賃がかからないとはいえ、トシ子さんの年金額月6万円だけでは、毎月確実に数万円の赤字が出るはずです。
また、厚生労働省『令和7年 国民生活基礎調査』でも、高齢者世帯の約5割が生活について「苦しい(大変苦しい・やや苦しい)」と回答しており、年金頼みの生活がいかに厳しい状況であるかが示されています。
本来なら生活に困窮していてもおかしくないトシ子さんが、なぜ最新家電を買い、笑顔で仕送りを断れるほどのゆとりをみせているのか。フミヤさんはその理由を知ることになります。