「親が資産家なら安心」そう思っている人は少なくありません。しかし、その資産が“株式や有価証券”だった場合、話は別です。特に高齢者が短期売買を繰り返すデイトレードにのめり込んでいた場合、相続人は思わぬリスクを背負うことがあります。父が遺した約4億円の証券資産。けれど、それは家族にとって“お宝”ではなく、“呪い”にもなりかねないものだった――。FPの小川洋平氏が詳しく解説します。
「これじゃ、呪いだよ」…評価額約4億円を遺し、78歳で急死した“デイトレ親父”。巨額資産に喜びも束の間…50歳息子が直面した「とんでもない事態」【CFPが解説】
金融資産の相続は「現金との違い」に注意
株式や投資信託などの金融資産は、一見すると分けやすい資産に見えます。しかし、実際の相続では意外なほどの手間とリスクが発生します。まず、証券会社ごとに相続手続きが必要で、相続人側にも同じ証券会社の口座開設が求められることが一般的です。
そして厄介なのが、“価格変動”です。有価証券の相続税評価額は、相続発生時点の価格で計算されます。しかし、実際に相続が完了し売却できるころには、大きく値下がりしているケースも珍しくありません。
特に、短期売買向けの銘柄やレバレッジ型商品は注意が必要です。数か月で半値以下になることもあり、相続税だけが重くのしかかる場合があります。場合によっては、相続税のほうが資産価値を上回ってしまうリスクすらあります。
さらに、高齢になると認知症によって取引が制限されることもあります。本人しか状況を把握していない場合、どの銘柄を保有しているのかすらわからなくなるケースも少なくありません。
だからこそ、資産の“見える化”と、誰になにを残すのかを考え、仕組み化しておくことが重要です。
生命保険を活用して納税資金を準備しておく、家族信託で管理権限を整理しておくなど、認知症や相続を見据えた対策を早めに考える必要があります。資産があることで、かえって家族を困らせてしまうことになることもあるのです。
どんな資産でも「家族が引き継げる状態」にしておく
高齢者の金融資産保有額は年々増加し、NISA制度の普及も相まって今後もリスク資産を保有する高齢者も増えてくることも考えられます。しかし、現預金と違い、価格変動や相続手続きの煩雑さという問題を抱えています。特に短期売買中心の資産構成は、相続時に大きなリスクとなることがあります。
重要なのは、「いくら資産があるか」ではなく、「家族が引き継げる状態になっているか」です。相続は突然やってきます。だからこそ、元気なうちから資産内容を整理し、家族が困らない形に整えておくことが、本当の意味での“資産防衛”です。
小川 洋平
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