年金分割とは、離婚をした際、婚姻期間中に夫婦が納めた厚生年金の実績を、「多いほうから少ないほうへ」分割して分ける制度です。夫のほうが稼いでいる(年金を納めている額が多い)場合、妻側は「夫の年金の50%を受け取れる」と考えるかもしれません。しかし、この考えは誤りです。年金ルールの注意点について、とある夫婦の事例をもとにみていきましょう。
年金は75万円増えるはずじゃ…77歳女性の誤算。離婚後の年金受給額が「想定よりも30万円少なかった」まさかの理由【社労士CFPが「年金分割の注意点」を解説】
「振替加算」が消滅したワケ
この加算を受けるには条件があります。その一つが「本人の厚生年金加入期間が20年(240ヵ月)未満であること」です。
ヨウコさん自身の実際の加入期間は10年程度。本来であれば条件を満たし、一生涯この10万円を受け取れるはずでした。ところが、年金分割を行うと、分割によって分け与えられた期間も「自分の厚生年金加入期間」としてカウントされてしまうのです。
年金分割を受けた結果、ヨウコさんの厚生年金加入期間はそのみなし期間を含めて20年以上として計算されることに。こうしてヨウコさんが振替加算を受け取る権利は消滅してしまったのでした。
年金分割によって報酬比例部分が55万円増えた一方、振替加算10万円が消滅した結果、実際には45万円しか増えていない……これが、ヨウコさんの年金が「当初の想定より少なかった」理由の全貌でした。
“自分に都合の良い解釈”は後悔のもと
年金分割にはルールがあります。特に、振替加算がついている人は、分割によって受給額が相殺されるリスクもあるため要注意です。
離婚を検討する際、分割後の記録や見込額がどのようになるかを知るため、まずは年金事務所で「年金分割のための情報提供」を依頼しましょう。
「もらえるはずだった年金がない」という悲劇を防ぐためにも、まずは冷静に、正確な情報を集めることをおすすめします。
五十嵐 義典
特定社会保険労務士/CFP
株式会社よこはまライフプランニング 代表取締役
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