司法統計によると、家庭裁判所に申し立てられた令和4年の事件総数は114万7,682件と、相続に関するトラブルは後を絶ちません。特に、義父母の介護を担うことが多い“長男の嫁”は、法律上不利な立場にあるようです。では、そんな長男の嫁が報われる方法はあるのか、弁護士が解説します。
「来てくれて助かったよ。でも、お前は女だから」資産5億円の大地主・88歳義父の“時代錯誤な一言”に凍り付くリビングだが…当事者の55歳・長男の嫁は“余裕の笑顔”のワケ【弁護士の助言】
ミチコさんはなぜ“余裕”なのか?
本件でまず整理しておきたいのは、長男の嫁であるミチコさんは、原則として義父の法定相続人ではないという点です。
そのため、義父の遺産を当然に「相続人として取得できる立場」ではない……ただし、それで法的な手当てがまったくないかというと、そうとも限りません。
相続人ではない親族であっても、被相続人の療養看護などに特別の貢献をした場合には、「特別寄与料」を請求できる可能性があります。本件のように、長年にわたり同居し、通院付き添いや介護を担ってきた事情があれば、十分に検討対象となり得るのです。
また、本件では、義父が主要財産を長男に承継させる意向を示している点も重要です。仮に長男が不動産や現金を相続すれば、その財産は長男夫婦の生活基盤になります。
さらに、タカシさんとミチコさんとの間で「介護を引き受ける代わりに、相続財産を現金化する」「相続財産から発生する利益はミチコさんが自由に使える」などといった取り決めや了解があったのであれば、ミチコさんの“余裕”にも一定の理由があるといえるでしょう。
もっとも、これらの取り決めを実現させるためには、特別寄与料の請求や長男の相続後の財産管理、さらには長男からミチコさんへの二次相続や遺言の作成まで含めて考える必要があります。ミチコさんの真意や思惑は本人のみぞ知るところですが、少なくとも「血縁がないから一切取得できない」とは限りません。
相続は感情論だけでなく、生前の貢献と相続対策をどう組み立てるかが重要になる事案といえるでしょう。
山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
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