親の「嫌われたくない」という弱み

本件のような「身内間のお金の問題」は、一見すると法律相談になじまないように見えますが、こうした相談は知人から意外とよく受けます。その深刻さの度合いは大小あれ、このような「成人した子からの過度な援助要求」に悩んでいる親世代は少なくありません。

ここに共通しているのは、「関係を壊したくない」という感情と、「このままでは生活が持たない」という現実との板挟みです。

法律的に整理すると、親から子や孫への援助は原則として「贈与」であり、支払義務があるものではありません。したがって、援助を断ること自体に法的な問題は当然ありませんし、将来にわたって支払いを継続すべき義務もありません。

他方で、一度継続的に援助を行ってしまうと、「期待権」のような形で関係性が固定化し、心理的には断りづらくなるのが実情です。

重要なのは、「法的にどうか」ではなく、「どう伝えるか」の問題だと思います。たとえば、「今後の援助額は一定の範囲に限る」「大きな支出は事前に相談してほしい」といったルールを援助する側で明確にし、夫婦で方針を一致させたうえで伝えることが現実的でしょう。

人間関係とお金の問題、非常に悩ましい問題です。感情的には甘くなる場面でも、老後資金は取り戻せない資産である以上、線引きを先送りにしないことが、結果として健全な親子関係の維持にもつながるのではないでしょうか。

山村暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士

【注目のセミナー情報】​​​
【短期償却】4月28日(火)オンライン開催
《所得税対策×レバレッジ対策》
「インフラ投資で節税利益を2倍にする方法

【国内不動産】5月9日(土)オンライン開催
《即時償却×補助金活用》
400万円から始める「民泊経営パッケージ」