もし親がケガや認知症などで高齢者向け施設に入居しなければならなくなったとき、施設によっては高額な「入居一時金」がかかる場合もあります。本記事では、子が入居一時金を立て替える際の注意点や、早期退去時の返還金トラブルを防ぐ制度について、FPの丸山幹也氏が監修した『介護マネーのプロが解決! 親の高齢者住まいにかかるお金のギモン 暮らし・資金に合った住まい選びがよくわかる』(メイツユニバーサルコンテンツ)より一部を抜粋・再編集し解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
親の老人ホーム入居、「馴染めず即退去」で大損しないために…「入居一時金」の返還トラブルを防ぐ〈90日ルール〉【FPが「短期解約特例」を解説】
子が立て替えた「入居一時金」、税務署から請求が来る?
もし親が認知症などで高齢者向け施設に入居しなければならなくなった時、施設によっては高額な一時金がかかることも。親の預金が少なくて、子や親族がこの一時金を支払った時に税金はかかるのか。もし税務署から請求がきたらどうしよう、と悩む方も多いと思います。
結論からいうと、入居一時金では贈与税は課税されません。なぜなら、この贈与したお金は「贈与税の非課税財産」の規定で、
①「扶養義務者」である子が
②生活費に相当する入居一時金を支払い、
③その金額が「過度に高額でない支出」である
ときは課税されないからです。
「贈与税の非課税財産」と「扶養義務者」について補足説明します。「扶養義務者」とは配偶者(夫・妻)、直系血族(子・孫・ひ孫)、兄弟姉妹、生計を一にしている3親等以内の親族のことです。
「贈与税の非課税財産」には数種類がありますが、今回のパターンではそのうちのひとつ、上記の「扶養義務者」から生活費又は教育費に充てるために贈与された財産で、通常必要と認められるもの、というのが当てはまります。
生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合でも、実際は生活費や教育費に使用せず、投資したり不動産を買ったりした場合は贈与税が課税されます。
非課税になる「過度に高額でない支出」の境界線
それでは「過度に高額でない支出」とはいくらまでなのでしょう。実はこれについては「社会通念で判断する」という規定があるだけで、明確な金額は明示されていません。裁判の判例では「贈与税非課税財産」として入居一時金945万円を認めたものがあります。(平成22年11月裁決事案NO.81)
何千万円もの一時金を親族が払うのは「贈与税の非課税財産」と認められない可能性がありますので、注意された方がいいでしょう。
