タダシさんが60歳から始めた“新たな趣味”

「貯めたお金を使えない」と思い悩んだ末、タダシさんはファイナンシャルプランナー(FP)に相談。これまでの悩みを相談したうえでライフプランシミュレーションを行い、年金や生活費、医療費などを見積もってもらいました。

すると、厳しく計算しても最終的に約4,000万円は残るという結果に。

「好きに使ってもこんなに残るんですか? それなら若い頃に、もう少し使っておけばよかった」

試算してもなお後悔するタダシさんに、FPはこう言いました。

「これまで倹約生活を頑張ってこられた成果ですよ。タダシさんはまだ60歳。人生100年と考えると、あと40年もあります。焦らずゆっくりと、やりたいことを探してみてはいかがでしょうか」

後日、タダシさんは一眼レフカメラを購入。散歩に出かけては道端の花や公園にいる虫などを写真に収め、老後の退屈な日々に小さな楽しみが生まれました。

「損したくない、それだけだったんです。でも、いつの間にか『貯めること』自体に執着するようになっていました。後悔は消えませんが、せめてこれからは『使うこと』を意識してみます」

備えるだけではなく、使うことも人生の一部です。タダシさんはいま、以前よりも穏やかな表情で、前向きな日々を送っています。

辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表/CFP