民法では、故人(被相続人)の財産を相続する権利を持つ人を「法定相続人」と定めています。配偶者は常に相続人となり、そこから子、親、兄弟と優先順位がついていく仕組みです。実子は配偶者の次に優先されるため、当然遺産を相続する権利を有していますが、場合によっては“相続できる額が激減するケース”が発生するようで……。事例をもとに、相続トラブルの対策をみていきましょう。
いやだ、信じたくない!…遺産1億円・90歳で亡くなった母の葬儀後、実家に響いた叫び声。兄嫁を「家政婦さん」と揶揄していた49歳“末っ子長女”の末路【CFPの助言】
実家の居間に響く長女の悲鳴
母のチエさんはその後、コウイチさんと相談のうえ「遺言書」を作成。それから1年後、コウイチさん家族に見守られながら、90歳で静かに息を引き取りました。
――そして、チエさんの葬儀から数日後。遺産分割協議のために兄弟3人が実家に集まります。
意気揚々と現れたケイコさんですが、母の遺言書を確認すると態度が豹変。そこには、ケイコさんに渡す財産についての記載がいっさいなかったのです。
さらに、ケイコさんの逆鱗に触れたのが、遺言書に記載されていた「(遺贈)長男の妻 〇〇カオルに対し、金〇〇万円を遺贈します」という一文でした。
「なによ、これ……いやだ、信じたくない! 実の娘より兄嫁を優先するなんて、ありえない!」「兄さんがお母さんを騙したんでしょう? カオルさんと一緒になって、卑怯者!」
実家の居間に、ケイコさんの悲鳴が響き渡ります。
コウイチさんが「おまえのこれまでの振る舞いの結果だろう。自業自得だよ」とたしなめるも埒が明きません。結局、ケイコさんには遺産から一定の現金を渡すことで決着がついたそうです。
また、母の意向で遺産のほとんどは長男のコウイチさんが引き継ぐこととなったものの、税理士に相続税の相談をしたところ、相続税の支払いが生じることが判明。相続税の支払いのために、一部の土地を売却したといいます。
いま思えば、一次相続の段階から対策しておけば相続税負担は最小限にとどめられたかもしれませんが、過ぎてしまったことはどうにもなりません。
コウイチさんは「子どもたちに苦労をかけないよう、自分は相続対策を万全にしておきたい」と話してくれました。
安易な一次相続は子どもに“予想外の負担”を強いる可能性も
相続税は、相続財産が非課税枠を超えたときに、その超えた部分に対して課税されます。
そのため、一次相続の際に対策を怠ると、二次相続で相続税の負担が重くなるケースがあります。非課税枠を超える資産がある場合は、一次相続の段階から二次相続を見据えた対策をしておくといいでしょう。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表