「これで安心だと思ったんです。プロに任せれば、母も安全で、私たち家族も無理をせずに済むと……」。 高齢の親が転倒するなどして介護が必要になったとき、多くの家族が直面する選択が「施設に入れるか」「自宅で看るか」。 正解があるようで、実はどちらも簡単ではありません。 年金月12万円、78歳の母をグループホームに入居させた50代の息子は、やがて深い後悔を抱えることになります。 しかし、その後に選んだ在宅介護もまた、別の現実を突きつけるものでした。 高齢期の住まいと介護は、感情だけでは決められません。今回は、ファイナンシャルプランナーの小川洋平氏が、ある家族の葛藤を通して「介護とお金の現実」を解説します。
母さん、一体どうしちゃったんだよ…年金月12万円・認知症の兆しは一切ない“気遣いの母”、老人ホームに入って「ひと安心」のはずが、まさかの異変。息子が下した最終決断【CFPが解説】
「施設」か「在宅」か…本当に大切なこと
実は、施設に入ったものの「合わない」と感じて、別の施設へ移るケースは少なくありません。また、佐藤家のように子どもが引き取るケースもあります。しかし、在宅介護は想像以上に家族への負担が大きく、仕事の継続が難しくなったり、介護を巡り夫婦間の対立が起きたりすることもあります。
施設にも種類があり、費用もサービス内容も大きく異なります。また、それぞれの施設により特徴もあり、合う施設と合わない施設があります。最近では入居者の性格や身体状況、家族の希望を丁寧にヒアリングし、相性の良い施設を紹介する無料サービスも増えています。こうしたサービスを利用することで、自分(親)に合う施設を選ぶこともできます。
また、施設に入居する金銭的な余裕が無く、仕方なく家族が在宅で介護しているケースも多く見られます。「自分の介護のせいで子どもや孫の仕事や生活を制限してしまうことは避けたい」と思うのであれば、リタイア後の生活設計は、自分自身が要介護状態になることを前提に、早い段階から資金準備をしておくことも重要です。
介護の正解は、その家族によって異なる
佐藤家のように介護の選択肢に悩む人は多いでしょう。大切なことは、親の性格や価値観を理解し、専門家の意見を参考に選ぶこと。そして、家族全体の負担を考慮し、自分達がどうしたいのかを冷静に考え判断することです。
介護、感情だけで決めると後悔が残りやすいものです。何が正解かは、その家族によって異なります。複数の選択肢が自分達の生活にどう影響を与えるかを考慮し、選択することが大事です。
また、経済的な理由で家族に負担を掛けてしまうことは、避けるべきことです。突然やってくる“その日”に備え、自分や家族の選択肢を奪ってしまわぬよう、経済的な準備をしっかりしておきましょう。
小川 洋平
FP相談ねっと