実家の母の様子がおかしい

都内の製造メーカーに勤めるAさん(52歳)は、妻(49歳)と2人の大学生と、東京郊外の戸建に住んでいます。住宅ローンの返済があと10年、子どもの学費もピークに達していますが、家計はなんとかやりくりできていました。

そんなAさんの実家は、自宅から車で約2時間の地方都市です。父親は数年前に亡くなり、母親のBさん(80歳)がひとりで暮らしています。

ひとり息子で親想いのAさんは、月に1度はBさんとテレビ電話で話したり、1年に一度は帰省していました。しかし最近、母が同じような話をしては「今その話はしたわよね」と自分で気づくなど、今までになかった様子が見受けられました。

また、Bさんと話をした家族も、Bさんの異変を心配するように。そこでAさんは、休暇を取って母親に会いに行くことにしたそうです。

Aさんは帰省する前にまず、もしもBさんが認知症だった場合、介護や財産管理に必要となる負担額や、準備しておいたほうが良いことなどを、FPである筆者に相談に訪れたのでした。

親が認知症になる前に子どもがしておく準備

認知症になると、生活していくうえで家族などのサポートが必要となります。面倒をみる子どもは親が認知症と診断される前に、次の3つの準備をしておいたほうが良いでしょう。

1.日常生活の記憶障害や判断能力の低下のための準備

記憶障害が起きたり判断能力が急激に低下したりして、生活に支障をきたす事態に備えて、エンディングノートなどを利用して、子どもも使える便覧を作成しておきます。ただしすべての項目を記入するのではなく、親子でスマホやパソコン、ATMのパスワードなど、忘れては困る大切な項目を選んで記入します。空欄は、後に親が必要と思う項目を書き足せばいいでしょう。

2.本人名義の銀行預金口座を管理する準備

親の銀行口座に「代理人カード」を作れば、子どもが親の代わりに預金を引き出せます。また、「代理人指名手続」をしておけば、親が認知症で施設入居が必要になったときなど、その資金を指名代理人(子ども)が、親の口座から出金できます。ともに口座名義人本人、親が手続きをします。ただし、この取扱いのない銀行もあるため事前に確認しておきましょう。

また、認知症になると本人の意思能力が必要な、遺言書の作成や内容の変更、不動産の売買契約、老人ホーム入居契約などができなくなります。そのため、事前に任意後見人などを選定しておく手続きが必要となるかもしれません。

3.地域のサポート機関の確認の準備

親の認知症が心配になったら、親の住んでいる地域包括支援センターやかかりつけ医、医療機関のもの忘れ外来などに、相談や診察をしてもらうため、所在地や開いている時間の確認しておき、必要に応じて訪問することも大切です。