2025年3月、複数のメディアが「マンションの大規模修繕工事をめぐり、施工会社約20社が談合を繰り返していた疑いで、公正取引委員会が一斉に立ち入り検査を行った」と報じました。この背景には、大規模修繕工事特有の“構造”が関係しているとみられます。1級建築士・建山晃氏の著書『[新装版]マンションの大規模修繕でダマされない方法』(彩図社)より、修繕積立金と管理費をめぐるトラブル事例と、その予防策をみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
全国で発生する「修繕積立金」と「管理費」をめぐるトラブル…悪徳業者に騙されないための〈施工会社選定〉のポイント【1級建築士の助言】
マンションの修繕費は「毎月713億円」貯まっている計算
区分所有者であるマンションの住民は、毎月「修繕積立金」と「管理費」を納めている。修繕積立金は将来の建物の維持のために使われ、管理費は日々のマンション管理に使われる。
国土交通省によるマンション管理の指針として、12年ごとに大規模修繕工事が推奨されている。そのため、ほとんどの管理組合は12年をめどに大規模修繕工事を実施することを管理規約に記しているだろう。修繕費用の原資は積み立てられた修繕積立金である。
国交省のデータによれば、2024年末時点でのマンションのストック戸数は713.1万戸になっている。そのすべてで毎月1万円を積み立てているとすれば、全国で月間約713億円、年間で約8,556億円、12年間で約10兆円の現金が修繕費として貯まっているのである。
住宅改修、マンション管理…不動産市場は巨額の資金が動く
国交省による令和5年度の建物リフォーム・リニューアル調査報告によれば、住宅改修市場は年間約4兆円規模であり、そのうちマンション(コンクリート系共同住宅)は約1.5兆円の規模であると思われる。
管理会社は全国に1,934社(2021年国交省資料)ある。毎月1万円の管理費とすれば、修繕積立金と同様に大変な事業規模となる。
一度管理組合と契約してしまえば、後は何をせずとも間違いなく毎月お金が入ってくるため、管理会社にとって安定した収入源だ。そのため、修繕積立金と管理費をめぐってはさまざまなトラブルが全国規模で発生している。その例を見てみよう。
![出典:『[新装版]マンションの大規模修繕でダマされない方法』(彩図社)より抜粋](https://ggo.ismcdn.jp/mwimgs/6/9/540mw/img_6915f23991b75c10dcd67bcf8695003b122483.jpg)