退職金という大金を手にすると気が緩んでしまって、後先を考えない散財や仕組みのわからない無謀な投資に走ってしまう人があとを絶たないそうです。本記事では、『増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集して、著者でFPの横田健一氏が、注意すべき退職後の「お金の使い方」について解説します。
クルーズ旅行に500万円、憧れの外車に800万円…〈退職金〉という大金を手にして“後先を考えず”散財するリスク【FPが警鐘】
「退職金」は自分が理解していないものに使わない
退職金を受け取ったら注意すべきことがあります。それは、気が大きくなって無謀な投資をしてしまうことです。
いまだによくあるのは未上場株式への投資で、「IPOをめざしているこの企業に投資しておけば必ず10倍になりますよ」といった勧誘です。暗号資産への投資を勧められることもあるでしょう。「ビットコインの次に値上がりが見込まれる暗号資産といわれているのですよ」などの勧誘もあるようです。
ご自分で理解できない商品に、勧められるがまま投資をするのは避けてください。
どうしても気になるなら、少なくとも販売しているのが金融庁の登録金融機関かどうかを確認します。ただし、登録金融機関だからといって安心できるとは限りません。問題が起きている商品ではないかをインターネットで確認したり、投資助言などの専門家に相談したりするとよいでしょう。
「退職金」で散財する前にブレーキを
公的年金はリタイア後の生活費のベースとなるもの、そして退職金は不定期な支出やゆとり資金などとして使える大切なお金です。長年のお勤めに対する報酬ですから、思い切り使いたくなる気持ちもわかりますが、アクセル全開は少し危険です。
これまでファイナンシャルプランナーとして相談を受けた例や、学生時代、会社員時代の先輩諸氏から聞いた例では、正直なところ、「うーむ」と唸ってしまいそうになるエピソードも少なくありません。
一例では、「退職金を2,000万円受け取った後、夫婦で長年の夢だったクルーズ旅行に行って1年で500万円使った」「800万円をはたいて、憧れの外車に買い換えた」など。「部屋の模様替えをしたり、車を買ったり、子や孫を連れて一族で海外旅行。気づいたら1,000万円なくなっていた」という人もいます。
いうまでもありませんが、後先考えずに使ってしまうのは危険です。自分にはありえない……と思うかもしれませんが、長い会社員生活を終えた充実感と安堵感、そしてまとまったお金……ということで、少しくらいはいいかと気が緩んでしまうようです。
また「少し先にリタイアした先輩社員が遊んでいる様子を見聞きして、自分も同じように遊んでしまった。定年退職した上司がゴルフ会員権を買っていたので、自分もそれくらい買えるだろうと真似して買った」という方もいました。
しかし、同じ職場の人でもお財布事情は人それぞれです。退職金の水準が同じくらいでも、ある人は配偶者に相続でまとまったお金が入ってきたのかもしれませんし、別の人は共働きのパワーカップルなのかもしれません。
老後のお金を見通して、不安のないファイナンシャル・ウェルビーイングを実現する。守るべきお金は守り、適切な運用で増やしながらお金も時間もウェルスペントする(有意義に使う)。
そのためにも、早まらず、見通しを立て、ライフプランを考えたうえで有意義に使う方法を考えていきましょう。