定年を迎えるにあたり、多くの人が直面するのが「退職金をどう受け取るか」という問題です。一時金での受け取りは税制上有利とされる一方、本当にそれが最適な選択とは限りません。定年を間近に控える59歳の会社員Aさんも、銀行員の助言に迷いながら、自身の老後を見つめ直すことになりました。退職金の受け取り方で後悔しないための考え方をみていきましょう。
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銀行員「大損ですよ!?」…退職金2,000万円の59歳サラリーマン〈退職所得控除〉〈2分の1課税〉の税制優遇を捨てて「年金形式」での退職金受取を決めたワケ【CFPが解説】
年金形式を選択した決め手「納税よりも嫌なこと」
Aさんは今後のライフプランを踏まえ、税制優遇よりも「資金管理のしやすさ」と「日常生活の安定」を重視した結果、退職金を年金形式で受け取ることに決めました。
「確かに税金はかかるかもしれませんが、それよりも預金残高が急激に増えて『これくらいなら使ってもいいかな』と気が大きくなってしまうのが嫌だったんです」
Aさんはこう話してくれました。
退職金を一時金で受け取る際の税制優遇は、確かに魅力的です。「退職所得控除」や「2分の1課税」の存在を知り「一括が正解」と感じる人も多いでしょう。
ただし、退職金の受け取り方は税金面だけで判断するものではありません。より大切なのは、その後のライフプランやお金との向き合い方です。
実際、まとまった退職金を受け取ったことで気が緩み「数年のうちに使い切ってしまった」というケースも珍しくありません。
資金管理に不安がある場合や、計画的に生活費として使いたい場合には、税制上は不利になりやすくても、年金形式で受け取る選択肢も考えられます。
実際に定年を迎えてから焦るのではなく、現役時代のうちから退職後の生活や資金の使い方を整理しておきましょう。
辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表/CFP