退職金の受け取り方「一括」と「年金形式」の違い

定年が近づくにつれて、退職金の受け取り方について悩む人は多いです。筆者のもとにも、毎年一定数の相談がきます。

退職金を「一時金(一括)」として受け取るか「年金形式」で受け取るか……どちらを選ぶかによって、税金や社会保険料、資金管理のしやすさが大きく異なるため、それぞれのメリット・デメリットを理解しておくことが重要です。

[図表1]退職金の受け取り方別メリット・デメリット 出典:著者作成
[図表1]退職金の受け取り方別メリット・デメリット
出典:著者作成

税制面だけで見ると、一般的には退職一時金のほうが有利とされています。

退職金を一時金として受け取る場合は「退職所得控除」を差し引いたうえで、退職金だけを切り離して税額を計算する仕組みです。そのため、給与や年金などの他の所得と合算されず、税負担が抑えられるよう配慮されています。

なお、退職所得控除額は、勤続年数に応じて以下のように決まります。

[図表2]勤続年数による退職所得控除額の違い 出典:著者作成
[図表2]勤続年数による退職所得控除額の違い
出典:著者作成

たとえば、退職金が2,000万円、勤続年数が36年の場合、退職金控除額は次のとおりです。

【退職所得控除額】

800万円+70万円×(36年−20年)=1,920万円

【課税対象所得】

(2,000万円−1,920万円)×1/2=40万円

この40万円に対して税金が計算されるため、結果として税負担をかなり軽くできるというわけです。

年金形式で受け取る場合の注意点

一方、退職金を年金形式で受け取る場合は、公的年金等控除の対象となります。

65歳未満であれば60万円、65歳以上であれば110万円が最低でも利用できます。 そして、公的年金等控除では控除できなかった部分については「雑所得」として課税される仕組みです。

また、課税所得が増えることで、所得税だけでなく住民税の負担も増える点にも注意が必要です。加えて、年金収入は社会保険料の算定対象にもなるため、社会保険料負担も増え、結果として手元に残る金額が想定よりも少なくなるケースが少なくありません。

こうした背景から、退職金を年金形式で受け取る場合、一時金と比べて不利になりやすいと言われているのです。