厚生労働省「令和6年版厚生労働白書」によると、2024年時点の標準的な年金受給世帯(夫婦2人の基礎年金+夫の厚生年金)の受給額は月23万円でした。こうしたなか、物価上昇などを背景に年金生活が苦しくなった結果、「子どもからの仕送り」に頼るケースも少なくありません。ただし、子どもへの「過度な依存」は親子関係に亀裂をもたらすことがあるため、注意が必要です。68歳夫婦と41歳息子の事例をもとに、注意点をみていきましょう。
海外旅行に行きたいんだ…〈年金月21万円〉と〈子の仕送り月5万円〉で暮らす60代夫婦、帰省中の41歳息子に“冗談交じりのおねだり”→息子の「まさかの回答」に絶句【CFPが警告】
息子からのまさかの「最後通告」に大焦り
そんな生活を続けていたある年の正月。和樹さんが家族とともに帰省し、和やかな雰囲気で食卓を囲んでいると、お酒が入り上機嫌になった清一さんは、こんなことを言い出しました。
「体力のあるうちに、母さんと海外旅行に行ってみたいと話していたんだ。……なぁ和樹。悪いんだけど、父さんと母さんを海外旅行に行かせてくれないか?」
父からこう言われた和樹さんは、苦笑いを浮かべつつ、意を決して両親に切り出しました。
「あのさ……仕送り、やめさせてもらえないかな? うちも子どもが生まれて、これからはいろいろお金がかかってくる時期なんだ。マイホームも欲しいし、正直、いまのままじゃ家計が回らなくなりそうで」
息子からのまさかの返答に、夫婦は絶句。数秒の沈黙のあと、父の清一さんが慌てて取り繕います。
「いやいや、すまん。海外旅行は冗談だよ。……80万円とは言わないから、仕送りは続けてもらえないか? あれがないと生きていけない」
しかし和樹さんは、そんな父親を横目に冷静に続けました。
「生きていけないって……最近はずいぶん贅沢しているように見えるけど。先月も温泉旅行に行ったって言ってたし、週1回は外食してるんだろ? とにかく、これからは俺の仕送りをあてにしないでほしい。もしそれが受け入れられないなら、悪いけどもう、親子としての付き合いを終わりにしたい」
息子からの“最後通告”に呆然とする清一さん夫妻。「仕送りが止まったら困る」という思いに変わりはありませんが、息子家族との関係悪化を恐れ、仕送りの中断を受け入れるしかありませんでした。
親への仕送り額は「月2~4万円」が最も多い
厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査」によると、「老人ホームや病院の支払いだけをしている」ケースを除き、純粋に親の生活支援として仕送りをしている世帯の仕送り額は、次のような内訳となっています。
最も多いのは、月2~4万円の仕送りをしている世帯で、全体の35.7%を占めています。
子が親への仕送りをする背景には、物価高により高齢者世帯の生活が苦しくなりつつあることがあげられます。生命保険文化センターが2024年に実施した高齢者世帯の生活意識調査では、生活が「やや苦しい・大変苦しい」と回答した世帯が全体の55.8%にのぼっています。
