不動産価格の高騰や金利の上昇により、家を買うことのハードルが高くなっています。こうしたなか、需要が高まっているのが「築古リノベ物件」です。都内の賃貸マンションから郊外の築古リノベ物件に住み替えた30代夫婦の事例をもとに、持ち家購入時の注意点をみていきましょう。
世帯年収1,100万円の30代夫婦〈埼玉県内・築30年の庭付き一軒家〉を2,500万円で購入。大規模リノベに大満足も…1年半後、妻が「東京に帰りたい」と涙したワケ
「都内マンション」「郊外戸建」以外の選択肢
株式会社不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向」によると、2025年10月時点での新築分譲マンションの平均価格は、東京23区では約1億5,313万円と、過去2番目に高い水準となりました。同年11月には、約1億2,420万円と下がりましたが、依然として、ファミリー層には手が届きにくい高値状態が続いています。
もっとも同調査によると、埼玉県は約6,947万円、神奈川県は約6,230万円、千葉県は約5,727万円と、いずれも上昇傾向ではあるものの、東京都ほどの水準には達していないことから、価格を押し上げているのは東京23区だという見方もできそうです。
「都内マンションは高いから郊外の築古戸建」ではなく、物件探しの条件を緩めるだけで、予算と利便性のバランスがとれた物件に出会える可能性が高まります。
荒井夫妻の「その後」
自宅の売却が決まり、都内の賃貸マンションに引っ越した荒井夫妻。家賃は以前の25万円から約18万円に抑えました。
また、佳織さんは自分のせいだと反省し、パート勤務から派遣社員となり収入を増やしています。世帯年収は、約1,250万円(夫1,000万円、妻250万円)となりました。佳織さんは勇人さんの扶養から外れたものの、夫婦の月の手取りは約76万円と、8万円ほど増加。増えたうちの一部で積立NISAをはじめるなど、資産形成に励んでいます。
資産形成の観点では、無理に住み続けてストレスを抱えるより、損失を確定させてから改めて、NISAやiDeCoなどで金融資産を積み上げる選択肢が有効です。荒井夫妻は決断が早かったため、家計を立て直すことは難しくないでしょう。
暮らしと家計を守るために大切な視点
持ち家は資産になり得る一方、立地や環境、時間軸を見誤ると「固定化された負担」になります。
家を購入したものの、家族構成の変化や収入減、住環境のミスマッチなど、想定外の事情で手放すケースはあるでしょう。ただし、無理な住宅ローンやストレスを我慢し続けるよりも、早期に損失を確定させて家計を立て直すことは、決して悪いことではありません。
住まいは人生を縛るものではなく、暮らしを支える手段のひとつです。正解は人それぞれですが、もしも引き返したいと思ったときは、今後の暮らしや環境、そして必要なお金を冷静に見極めたうえで、早めの軌道修正を検討してみてはいかがでしょうか。
石川 亜希子
CFP