不動産価格の高騰や金利の上昇により、家を買うことのハードルが高くなっています。こうしたなか、需要が高まっているのが「築古リノベ物件」です。都内の賃貸マンションから郊外の築古リノベ物件に住み替えた30代夫婦の事例をもとに、持ち家購入時の注意点をみていきましょう。
世帯年収1,100万円の30代夫婦〈埼玉県内・築30年の庭付き一軒家〉を2,500万円で購入。大規模リノベに大満足も…1年半後、妻が「東京に帰りたい」と涙したワケ
もうイヤ…妻の“心変わり”に夫は疲弊
妻の憧れである「郊外のおしゃれなレトロ物件」で暮らし始めた荒井家。妻はうれしそうでしたし、勇人さんとしても、ゆくゆく子どもを持つことになったら、都内の狭いマンションよりもいいかもしれないと考えるようになりました。
また金銭的にも、月々のローン返済額は約8.5万円で、家賃として25万円払っていたことを考えると、正しい選択だったようにも思えます。
――ところが、入居から1年も経たないうちに、佳織さんが不平不満を漏らすようになりました。
「ここさ、周りにになんもないね。知り合いもいないし、パートの時給が都内よりだいぶ低い」
「同世代のパート、子どもがいる人ばっかで話が合わない」
「寒い……戸建てってマンションより寒くない?」
「ねえ最悪! 今日もゴキブリが出た」
妻の希望で購入した郊外の戸建て。長い通勤から帰ってきては愚痴を聞かされ、さすがの勇人さんもウンザリです。
「そういうことも、織り込み済みだったんじゃないの?」
やがて、夫婦関係もギクシャクしてしまいました。
そして極めつけとなったのは、お隣に住む老夫婦の言動です。はじめは人当たりがよく、「いいお隣さんに出会えて運がいい」と話していた2人でしたが、顔を合わせるたびに荒井夫妻のプライベートをあれこれと聞いてきます。
「昨日はずいぶん帰りが遅かったのね、どこへ行っていたの?」
「実家はどちらなの?」
「子どもはまだなの? それともできないの? いまどき、こんなこと聞いちゃダメかしら?」
悪気はないのかもしれませんが、プライバシーへの干渉が激しく、佳織さんは参ってしまいました。
「もうイヤ……東京に帰りたい」
憔悴して涙する佳織さんを見て、これはもう限界だと、勇人さんも悟りました。
不動産会社に仲介を依頼し、1年半ほど暮らした夢のマイホームを売却することに。購入時に支払った金額(3,200万円)こそ下回ったものの、きれいにリフォームしてあったことも功を奏したようで、2,700万円ほどで売却できたそうです。
そのため、荒井夫妻の出費は頭金の500万円と1年半分の住宅ローン約150万円、計650万円です。東京のマンションに暮らしていた場合は25万円×18ヵ月で450万円の家賃がかかっていたため、実質200万円ほどの損。高い勉強代となりました。