年末年始は絶好の帰省シーズン、子や孫の帰省を心待ちにしている人も多いのではないでしょうか。もっとも、なかには子どもたちの帰省に“怯える”親もいるようです。いったいなぜなのか、70代夫婦の事例をみていきましょう。
お年玉だけで勘弁してくれ…年金月23万円・70代夫婦が怯える「娘家族の正月帰省」【CFPの助言】
Aさん夫婦の家計状況は?
総務省「家計調査(家計収支編)2025年」によると、65歳以上・二人以上の無職世帯の実収入は25万2,818円でした。一方、税や社会保険料も加えた支出額は28万6,877円と、毎月3万4,059円の赤字になります。
一方、Aさん夫婦の収入は、老齢厚生年金のみで夫婦で月23万円、統計値よりも約2万円少ないです。ただ、Aさん夫婦は家計の見直しに励み、貯蓄を取り崩すこともなく生活しています。
また退職金やそれまでの貯蓄は、退職後に計画していた自宅のリフォームや旅行などの費用、想定外のCさんの住宅購入資金の援助に使いました。
残っている貯蓄は約800万円で、これは介護・看護費用や予備費として残しておく予定です。
そのようななか、Aさん夫婦が孫の中学受験を援助するためには、収入を増やすか支出を減らすかのどちらかしかありません。支出については「すでに見直して家計簿をつけている」とのことで、また収入についても働くつもりはなく、年金の増額も見込めないため、この状況で援助を行うのは現実的ではなさそうです。
また、机上ではさらに家計支出を減らして受験費用を少しでも捻出することは可能ですが、その生活を見た娘孫は喜ぶでしょうか、とも話しました。
Aさん夫婦の決意
そして迎えた正月、Aさんたちは帰省した娘夫婦に自分たちの家計の現状を伝えたうえで、孫の受験援助は難しいと話しました。
「すまん、お年玉だけで勘弁してくれ……」
受験費用をまとめた書面や、志望校のパンフレットも持ってきたCさんは、顔面蒼白です。Cさんが横に座っている夫の顔を覗き込むと、夫は「ないんなら、しょうがないんじゃない」と、仏頂面で言い放ちました。
自分たちの生活が最優先
年金暮らしのAさん夫婦と現役世代のCさん夫婦の収入は、Cさん夫婦のほうが多いはずです。
Aさん夫婦は子どもから頼られたことがうれしく、つい甘やかしてしまっていたと悔やんでいました。
どれほど子どもがかわいくても、無理を続けて自分たちの家計が破産しては元も子もありません。Aさん夫婦が自分たちの家計を守るために、率直に家計の状況を話したのは、賢明な判断だったといえるでしょう。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員