都会の喧騒から離れ、庭付き一軒家で土いじりや家庭菜園を楽しむ――そんな生活に憧れて、地方移住を検討する人は少なくありません。しかし、理想と現実のギャップは、時に想像を超えるものになることも。75歳の元公務員夫婦の事例をもとに、地方移住の思わぬ盲点をみていきましょう。辻本剛士CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
心が折れました…〈年金月38万円〉〈退職金4,000万円〉75歳の元公務員夫婦、念願の地方移住で〈新築・庭付き戸建〉購入も1年で売却を決意。原因はご近所さんの「残酷な一言」
地方移住の盲点
近年、自治体による移住支援や補助金制度が充実したこともあり、地方移住に関心を持つ人が増えています。
しかし、移住が必ず成功するとは限りません。株式会社クランピーリアルエステートの資料によると、移住者の約12%が「後悔している」と回答し、そのうち8.6%は「人付き合いに馴染めなかった」としています。
地域コミュニティに溶け込む難しさは、事前の情報収集だけでは見抜きにくいポイントです。
そのため、移住を検討する際には「うまくいかなかった場合の対応策」を残しておく必要があるでしょう。
生活基盤を大きく変える以上、柔軟に対応できるだけの資金や選択肢を確保しておけば、安心して移住に踏み出せます。
鈴木さん夫婦の場合、移住後も3,000万円の資産が残っていたため、生活を立て直す余力が十分にありました。もし全財産を移住に投じていたなら、引き返すことは難しかったでしょう。
地方移住には魅力がある一方、理想と現実のギャップに苦しむ人も少なくありません。移住を考える際は、環境の変化に伴うリスクを理解し、万が一のときに慌てないよう選択肢を残しておくことをおすすめします。
辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表/CFP
