突然の解雇という憂き目をきっかけに、将来を見つめ直すことになったという、在米23年目のファッション/テクニカルデザイナー・あっち氏。「収入源を複数化する」という目標を掲げ、数々の副業に挑戦した末辿り着いたのが……? 本記事では、あっち氏の著書『ニューヨークとファッションの世界で学んだ 「ありのままを好きになる」自信の磨き方』(KADOKAWA)より一部抜粋・再編集し、アメリカでの暮らしを支えている投資術をご紹介します。
突然の解雇でも路頭に迷わないために…“自助の国アメリカ”で生き延びる「不労所得の稼ぎ方」【在米23年会社員が実践】
米国での不動産投資が魅力的なワケ
私がアメリカでの不動産投資が魅力的だと感じる理由はいくつかあります。まず、株などと比べて価格に安定感があるため、安いタイミングで物件を購入しやすいという点です。そして、物件を貸し出すことで毎月の家賃収入が得られる「現金を生み出す資産」であることも、大きなメリットです。
さらに、不動産は「担保」としても活用できます。たとえば、学費やリフォーム、事業の立ち上げなどでお金が必要になった場合、住宅を担保にして利用できるローンがあります。日本でも住宅ローン減税の制度がありますが、アメリカでも不動産を所有していることで、さまざまな税制上の優遇や控除が受けられます。
ただし、リターンがあるということは、それに見合うリスクもあります。2007年にはサブプライムローン問題によって、多くの住宅が差し押さえられ、価格が急落したのもその一例です。
また、ニューヨーク州ではテナント(借り主)の権利が強く、家賃を滞納されても退去してもらうまでに、裁判を経て1年ほどかかることは珍しくありません。さらに、税制の変更によって固定資産税が突然上がるリスクも否めません。
これまで家賃は年3%程度の上昇が見込まれていましたが、2025年11月の市長選挙では「家賃据え置き」を公約に掲げる有力候補がいるため、不透明感が広がっています。加えて、インフレにより修繕費や人件費も年々上昇し、予期せぬ出費が発生することもあります。
不動産投資に求められるのは、リスクを見越して計算し、柔軟に行動する姿勢です。具体的には、「必ず物件を自分の目で確認する」「相場より安く買う」「エリア選定に妥協しない」「余裕を持った資金計画を立てる」「時代の流れを読む」といったポイントを押さえること。また、良い物件と出会えたときには即決する判断力とスピード感も重要です。これらを徹底することで、失敗のリスクはかなり小さくなります。
不動産投資を始めて、将来や老後への漠然とした不安がなくなりました。本業を持ちながら、さらに別の収入源を持ちたいと考えたとき、限られた時間の中ですべての副業をこなすのは困難です。また副業のために、家族や恋人との大切なプライベートを犠牲にしてしまうのは本末転倒ですよね。
お金はあとで稼げますが、過ぎ去った時間は戻ってきません。その点、不動産投資は、自分が働き続けなくても収入を得られる最強の投資術です。
あっち
ファッションデザイナー、テクニカルデザイナー