怪しいな…夫婦が下した決断は?

「これ、本当にCか?」

夫婦はちょうど、退職金詐欺で全財産を失った人のニュースを見て、「詐欺には気をつけよう」という話をしたばかりでした。不安を覚えた夫婦は、とにかく実際の状況をたしかめようと、息子が住む都内のアパートを訪ねることにしました。

まさか、そんな…夫婦が目にした「衝撃の光景」

夫婦は息子の自宅住所こそ知ってはいたものの、実際に訪ねるのは初めてです。電車とバスを乗り継いで、なんとか息子の自宅にたどり着くと、そこには予想外の光景が広がっていました。

オートロックのない、昔ながらのアパートの1階。上場企業に勤めているとは思えないほど、生活感のにじむ住まいです。ポストには督促状がパンパンに詰まり、見るからに金銭的にひっ迫している様子です。

チャイムを鳴らしても反応はなく、仕方なくドアをひねると、カギはかかっていませんでしたが部屋のなかは散らかり放題で、足の踏み場もありません。

「……おーい、C? いるのか?」

恐る恐る声をかけると、奥のほうで物音がします。2人は意を決して、ごみの山を乗り越え部屋に入りました。

息子が語ったLINEの真相

突然の訪問に驚いたのか、Cさん最初なかなか口を開きませんでした。ただしばらくして落ち着くと、Cさんは連絡した理由についてポツポツと語り始めます。

聞けば、かつて勤めていたプライム上場企業を退職し、いまはアルバイトで日銭を稼いでいるとのこと。収入が不安定ななか借金を返すため、さらに高金利の消費者金融からお金を借りているといいます。

「なるほど、そうか……」

一連の話を聞いた夫婦は悩んだ末、まず消費者金融の返済を肩代わりし、それからCさんの生活再建のために当分毎月10万円の資金援助をすることにしました。

年金暮らしのなかで毎月10万円は痛い出費ですが、「落ち込んでいるみたいだし、まずは元気を出してもらわないと」と意を決し、手を差し伸べることにしたのです。

しかし、それから半年が経ち、息子から今度は「仕送りを15万円に増やしてもらえないか」とLINEがきました。

「いつまで続くんだ。このままじゃ、自分たちの老後資金が枯渇してしまう。詐欺のほうがよっぽどマシじゃないか……」

2人は、頭を抱えています。