寒い季節が到来し、「どこの温泉に行こう?」と考える方が増えています。そこで今回は、インターネットでの月間検索数に基づき「今、日本人が最も注目している温泉地」をランキング。人気温泉地「箱根」がまさかの圏外となるなか、1位に輝いた名湯は?
1位:温泉好きが憧れる名湯「草津温泉」(600,000件)
栄えある第1位は、群馬県の草津温泉。月間検索数は、2位を大きく引き離す600,000件という圧倒的な数字を記録し、断トツの1位となりました。
草津温泉といえば、まず思い浮かぶのが温泉街の中心にある「湯畑」です。毎分4,000リットルもの温泉が湧き出る源泉で、この湯畑から流れ出る湯は、街中の旅館や共同浴場へと配湯されています。昼夜問わず湯けむりを上げ、硫黄の香りが漂う湯畑の景観は、草津の象徴であり、多くの人を魅了し続けています。
草津の湯は、日本有数の酸性度の高い泉質で、殺菌力が非常に強く、古くから「恋の病以外は何でも治す」と言い伝えられてきました。この強力な泉質は、温泉愛好家にとって憧れの的です。
また、熱い源泉を冷ますための伝統的な入浴法である「湯もみと踊り」も、草津温泉の代名詞です。湯もみは、熱い湯を水で薄めることなく、板を使ってかき混ぜて温度を下げる伝統的な方法で、観光客向けのショーとしても人気があり、草津の文化として深く根付いています。
宿泊施設の傾向を見ると、湯畑の目の前に位置する老舗の「ホテル一井」や、伝統的な雰囲気を守る「草津温泉 望雲」といった温泉街の中心を担う旅館が根強い人気です。
また近年は「湯宿 季の庭」や「お宿 木の葉」に代表される貸切風呂や充実したサービスが特徴の施設の支持も高まっています。圧倒的なブランド力に加え、伝統的な老舗から、現代的なニーズに応える高品質なリゾートまで、多種多様な宿泊の選択肢が、旅行者を強く惹きつけている要因のようです。
ランキングの背景にある傾向
今回のランキングをみていくと、上位は「圧倒的な泉質の良さ」や「特徴的な景観・文化」を持つ温泉地が検索数を集める傾向が見られます。一方で、2位の別府や3位の定山渓のように、周辺観光との連携やアクセスが良い温泉地も高い人気です。
驚きだったのは、大規模観光地の箱根温泉が圏外である点です。これは、箱根が温泉以外の芦ノ湖や美術館といった複合的な観光資源を持つため、「温泉」単体ではなく「箱根観光」として検索キーワードが分散すること、また、圧倒的な認知度から「知っている場所」として具体的な予約情報検索が主となり、本質的な魅力を深掘りする検索ニーズが相対的に低いことに起因すると分析できます。
今回の調査結果は、ユーザーの「純粋な関心度」を反映しており、「定番すぎて検索の必要がない」場所よりも、「独自の魅力」を情報収集したいという意図が強く現れているといえるのかもしれません。