多くの人にとって「人生でもっとも高額な買い物」となるマイホーム。そのため、購入にあたっては「あらゆるリスク」を排除しておきたいところ。ただ、購入前の想定通りにものごとが進むとは限りません。大切なのは、想定外が起きた際の「備え」でしょう。7年前に自宅を任意売却(※)した、とある夫婦の事例から、住宅購入にあたって注意すべき点とその後の対策をみていきましょう。※任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった場合に、金融機関(債権者)の同意を得て不動産を売却する方法のこと。
もう無理よ…世帯年収900万円の30代新婚夫婦、ハウスメーカー営業マンが「お買い得」と熱弁する〈庭付きの家〉を購入→2年も経たずに「任意売却」を迫られたワケ【CFPの助言】
再び「家を買う」と決意するまで
後日、D銀行の同意を得て任意売却が実現。物件は築2年で状態が良く、駅近の好立地だったため、購入時よりも高い価格で売却できました。売却代金でローン債務や諸経費、引越し費用をほぼ賄えたのは幸いでした。
失敗から学んだ再挑戦その後、夫婦は賃貸マンションに移り、Aさんは転職して順調に年収を増やしました。またBさんも出産後、育児休暇を経て復職。こうして、夫婦は再び住宅購入に挑戦する決意を固めたのです。
前回の失敗を教訓に、今回は返済負担率を意識した物件探しを始めます。そのなかでも、間取りや資産性、それぞれの職場へのアクセスなど、後々ストレスになりそうなポイントについて妥協は許しません。こうして、時間をかけて理想の物件を見つけ出したのです。
A夫婦の失敗の原因は、当時の収入に見合わない高額な物件を購入したことでした。加えて、Aさんの勤務先が遠くなったことでAさんに「我慢」が生じたことも一因です。それでも、早い段階で返済が困難であることに気づき、任意売却でリカバリーできたのは幸運だったでしょう。
住宅購入は、人生でもっとも高額な買い物です。過剰なほど綿密な計画を立てて慎重に進めるくらいの気持ちでなければ、都合の良い情報ばかりに目が行ってしまった結果、購入後に後悔しかねません。
取り返しのつかない失敗をする前に、第三者の客観的な意見を取り入れるなどしながら、冷静さを意識した物件探しをおすすめします。
牧野 寿和
牧野FP事務所
代表