老後資金7,000万円──数字だけ見れば、誰もが「安心できる老後」と思うかもしれませんが、実際にはその“安心”を感じられない人が少なくありません。「お金が減るのが怖い」「この先どうなるかわからない」......。貯めてきたからこそ使うことが怖くなる、そんな不安を抱える田中さん(仮名・68歳)もその一人でした。本記事では、CFPの伊藤寛子氏が、“貯める”から“活かす”へお金との付き合い方を見直した田中さん夫妻の変化を例に、老後資金の活かし方について解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「嫌だ、少しも減らしたくない…」通帳残高に固執する68歳元会社員。資産7,000万円達成でも「不安で不安で仕方がない」深刻な理由【CFPの助言】
お金は“使ってこそ”人生を豊かにする
いくらお金があっても、死後に財産を持っていくことはできません。お金は“持つ”ためではなく、“使って幸せになる”ためにあります。ですが、田中さんのように真面目にコツコツと貯めてきた人ほど、“使うこと”に罪悪感を抱きがちです。
世界的ベストセラー『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)でも、お金の“貯め方”ではなく“使い切り方”に焦点を当てています。経済的な豊かさよりも、「どう使えば人生そのものを豊かにできるか」に目を向ける重要性を説いています。
そして、お金と同じく有限なのが“時間”です。年齢を重ねるほど、体力・健康面・介護など、“お金以外の理由”でやりたいことに使える時間は少なくなります。
不安に囚われるばかりではなく、“資産”と“時間”をどう活かすかに目を向けて、自分の人生をより豊かなものにしていくことこそが、「老後資金を活かす」ことではないでしょうか。
伊藤 寛子
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)