お金は“使ってこそ”人生を豊かにする

いくらお金があっても、死後に財産を持っていくことはできません。お金は“持つ”ためではなく、“使って幸せになる”ためにあります。ですが、田中さんのように真面目にコツコツと貯めてきた人ほど、“使うこと”に罪悪感を抱きがちです。

世界的ベストセラー『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス著)でも、お金の“貯め方”ではなく“使い切り方”に焦点を当てています。経済的な豊かさよりも、「どう使えば人生そのものを豊かにできるか」に目を向ける重要性を説いています。

そして、お金と同じく有限なのが“時間”です。年齢を重ねるほど、体力・健康面・介護など、“お金以外の理由”でやりたいことに使える時間は少なくなります。

不安に囚われるばかりではなく、“資産”と“時間”をどう活かすかに目を向けて、自分の人生をより豊かなものにしていくことこそが、「老後資金を活かす」ことではないでしょうか。

伊藤 寛子
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)