援助の偏りがもたらす3つのリスク

このような援助の偏りは、決して珍しいことではありません。祖父母世代は「かわいい孫のためなら」と財布のひもを緩めがちで、特に教育費や住宅購入といった大きなライフイベントへの援助は、金額も大きくなります。

しかし、子どもたちのライフスタイルは様々です。結婚や子どもの有無、マイホームを持つタイミングや進学先によって、必要となる援助の機会や金額は大きく異なります。結果として、「孫がいる家」と「いない家」との間で、親からの支援額に大きな差が生まれてしまいます。

親にとってはごく自然な愛情表現であっても、援助を受けられなかった側からすれば「不公平」と映ってしまうのです。そしてその不満が、将来の介護や相続の問題にまで発展する可能性があります。

具体的に、援助の偏りがもたらすリスクは3つあります。

1.きょうだい間の関係悪化
「自分だけもらっていない」という不公平感がきょうだい間に溝を生み、関係が悪化する原因になります。

2.介護や相続をめぐる争い
 「親の介護は多く援助してもらった人が中心にやるべき」「援助を受けた分は相続から差し引くべき」といった主張の対立から、深刻な争いに発展する可能性もあります。

3.親自身の生活資金不足
「孫のために」と援助を繰り返すうちに、自分たちの老後資金が不足してしまうリスクもあります。高齢期には医療費や介護費が増えます。その時になって自分たちの資金が足りなくなってしまっては、かえって子どもに迷惑をかけることになります。