老人ホームのパンフレットに記載された基本料金。しかし、同じ施設でも介護度や利用するサービスによって、実際の月々の支払額には数万円の差が生じます。なぜ、このような価格差が生まれるのでしょうか。本記事では、小菅秀樹氏監修の『伝説の相談員が教える幸せになれる老人ホーム探し』(ホーム社)より、立地や設備、人員体制といった「価格差を生む5つの理由」と、見えにくい「総額」を正確に把握するコツを詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
老人ホームの費用、見えない価格差を生む「5つのカラクリ」。パンフレットだけでは分からない総額の罠
総額はどうやって調べればいいの?
有料老人ホームの費用を正確に把握するには、基本料金と追加料金を分けて考える必要があります。
まず基本的な料金として、家賃、管理費(共益費)、食費がかかります。家賃はその名の通り居室の賃料を指し、立地や居室面積によって金額が異なります。管理費は共用設備の維持管理や事務職員などの人件費のこと。食費は「食材費」と「厨房管理費」に分かれることが多く、食材費は利用分のみ請求されるのが一般的です。さらに、居室の水道光熱費が別途かかる場合があります。これに加え、有料老人ホームでは介護サービスにかかる介護保険の自己負担分に加えて、施設独自の追加料金が発生することがあります。なお、介護保険の自己負担分は、介護度や所得に応じて異なります。
このように、基本料金に月額3〜5万円程プラスされるケースが一般的です。施設見学の際は、総額を確認するために「入居する方と同じ介護度や身体状態の方が、実際に支払っている金額」を確認しましょう。
例えば同じ施設に入居していても

Aさん:基本料金15万円+介護保険自己負担分1万2,000円+オプション2,000円=16万4,000円
Bさん:基本料金15万円+介護保険自己負担分3万1,000円+オプション4,000円=18万5,000円
のように差が生じるわけですね。
さらに、施設が提供する「オプションサービス」も確認しておきましょう。これは介護保険外の追加サービスのことで、入居者のニーズに応じて柔軟に利用できる便利なサービスですが、都度料金が発生します。下記はオプションサービスの一例です。

施設によって何をオプションサービスとしているかは異なります。A施設で有料で実施していることが、B施設では無料ということもありますから、よく確認してくださいね。
