老人ホームのパンフレットに記載された基本料金。しかし、同じ施設でも介護度や利用するサービスによって、実際の月々の支払額には数万円の差が生じます。なぜ、このような価格差が生まれるのでしょうか。本記事では、小菅秀樹氏監修の『伝説の相談員が教える幸せになれる老人ホーム探し』(ホーム社)より、立地や設備、人員体制といった「価格差を生む5つの理由」と、見えにくい「総額」を正確に把握するコツを詳しく解説します。
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老人ホームの費用、見えない価格差を生む「5つのカラクリ」。パンフレットだけでは分からない総額の罠
老人ホームの価格差はどこからくる?
有料老人ホームの価格はピンキリです。なぜここまで価格差が生じるのか、詳しく解説しますね。主な理由は次の5つです。
1.立地・ロケーション
老人ホームの価格に、最も影響を与えるのが立地。都市部や駅近など、利便性が高い地域では地価や運営コストが高くなり、それが居住費に反映されます。
2.建築コストと居室仕様
高級施設では、高品質な建築材料や最新の設備が使用されるほか、居室の広さも20m2以上とゆとりある設計が一般的。一方、低価格帯の施設では、既存の建物(学生寮や独身寮など)を改装して利用する、あるいは共用スペースを最小限にするなど、コストを抑えて建てることで料金を安く抑えています。
3.共用設備の内容
ラウンジやフィットネスジムなど、共用設備の充実度は料金に大きく影響します。必要最低限の共有スペースのみを提供する施設では、そのぶんコストが抑えられ、価格が安くなります。
4.スタッフの人員配置と介護体制
多くの施設では法令で定められている「3:1」の人員配置が標準ですが、「2:1」や「1.5:1」といった手厚いケア体制をとっている施設は、上乗せ介護費がかかります。
5.ブランド価値と運営母体
大手企業が運営する施設は、共有設備や医療体制、職員配置が比較的整っており、運営実績もあるためサービスの質が高く、その安心感やブランド力が料金に反映される傾向があります。