「いい老人ホーム」ではなく「合う老人ホーム」を

入居相談にいらっしゃる多くの方が、「いい老人ホームを紹介してほしい」と口にします。ところが、「いい老人ホームとは、具体的にどんなイメージですか」と返すと「ちゃんと介護をしてほしい」くらいしか出てきません。どの老人ホームでも介護サービスは提供しているので、単に「介護さえしてくれればいい」のであればすぐに見つかるはず。しかし、それではミスマッチが生じることがあるのです。

例えばこんなケースがあります。社交的でおしゃべり好きだった女性が、転倒を繰り返して施設へ。手厚い医療体制で安心できるホームへ入居したそうですが、そこは寝たきりの方が多く、おしゃべりできる相手がいませんでした。女性は部屋に閉じこもりがちになり、入居後に、それまではなかった認知症の症状が現れはじめました。

このように、ある人にとっては「医療サービスが手厚い施設」がベストですが、ある人にとっては「お元気な方が多くいる施設」のほうがいいことも。また、落ち着いた雰囲気の施設が適した方もいれば、イベントが多く活気のある環境が向いている方もいるでしょう。

掲載されるランキングはあくまで最低限の参考に。どんな暮らしを望むか、主体的な軸をもって探そう!

まず把握しておきたい情報をチェックしよう

「合う老人ホーム」を見つけるために、まずは、入居する方の介護度、持病、必要な医療的ケアを必ず把握しましょう。さらに、性格や趣味嗜し好こうも考慮に入れるといいでしょう。例えば、散歩が好きなら「外出などの個別対応を柔軟にしてくれる」施設。歌が好きなら「趣味のカラオケが続けられる」、おしゃべり好きなら「お元気な入居者が多く交流も盛んな」施設。認知症の症状でお困りの場合は「認知症ケアを得意としている」、医療面で安心を得たい場合は「クリニック併設で主治医が近くにいる」施設……といったぐあいです。入居する方がどんな生活を望むのか、まずは書き出してみましょう。

出所:
[図表1]チェックリスト 出所:『伝説の相談員が教える幸せになれる老人ホーム探し』(ホーム社)より引用